『妖怪シェアハウス』が示した“2つの結婚” 小芝風花が選んだ“もうひとつの道”は?
「枠になんかハマってたまるか! 書きたいものを書いて何が悪い。バズらなくて何が悪い。ビジネスにならなくて何が悪い。成功しなくて何が悪い!」
「女の幸せ」と勝手に一般化されてしまった“結婚”でもなく、“成功”するための小説家活動でもなく、自分が書きたいように書きたいものを書く、枠にはまらない生き方を選んだ澪。そういう自由な人生を志向するようになったのは、他でもなく妖怪たちと一緒に暮らした時間があったからだ。第1話ではあれだけ世間の空気を読んでいた澪が、幾多の困難を乗り越えて自分を一番大事にする生き方を知った。妖怪化が進行していることについても、「私にとって妖怪化は忌み嫌うものじゃなくて、自分を解放することだったの」と言ってみせる。妖怪たちと出会い解放されていく澪の物語『妖怪シェアハウス』は、紛れもなく豊かで幸福な時間を描いていたのだ。
結婚を2つのパラレルワールドで見せるという本作のギミックに、製作陣の気概が見えた最終話。結果的にそのどちらでもない“もうひとつの道”を選ぶというのも、これまで女性の多様な人生のあり方を描いてきた『妖怪シェアハウス』ならではの結末だったように思う。何よりも感動的だったのは、第1話ではあれだけ自信なさげだった澪が、最後にはキラキラとした笑顔を見せ、自信のみなぎる佇まいをしていたこと。演じた小芝風花の七色に光る好演が、目黒澪という女性の生き方を最大限に肯定していたように思う。小芝風花のこれからの活躍にも期待しながら、まずは澪が選んだ未来に思いを馳せたい。
■原航平
ライター/編集者。1995年生まれ。「リアルサウンド」「クイック・ジャパン」などで、映画やドラマ、YouTubeの記事を執筆。Twitter/ブログ
■配信情報
『妖怪シェアハウス』
TELASAにて全話配信中
出演:小芝風花、松本まりか、毎熊克哉、池谷のぶえ、内藤理沙、大東駿介、味方良介、柾木玲弥、宮本茉由、大倉孝二
脚本:西荻弓絵、ブラジリィー・アン・山田、綿種アヤ
演出:豊島圭介、山本大輔
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、宮内貴子(角川大映スタジオ)
制作:テレビ朝日
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日
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