山田涼介の涙を誘う演技に期待大 『キワドい2人』“人情派”刑事ドラマの要素を楽しむ

『キワドい2人』山田涼介の演技に期待大

 異母兄弟でありながら正反対な性格の持ち主である2人がバディを組み、池袋の街で起きる凶悪事件に挑む金曜ドラマ『キワドい2人 -K2-池袋署刑事課 神崎・黒木』(TBS系)。先週の第1話では単なるデコボコバディものとして物語が展開していき、そのラストで神崎(山田涼介)と黒木(田中圭)が異母兄弟であることが発覚。いきなり2人の同居生活が始まるのである。9月18日放送の第2話は、ようやく“異母兄弟バディ”という異色な設定が活かされるのかと思いきや、それ以上に原作からの大胆な脚色が目を引くエピソードに仕上がっていた。

 異母兄弟であることが知られたらどちらかが飛ばされるだろうと考え、署内では秘密にすることにした神崎と黒木。しかし神崎は、性格はもちろんとにかくそりが合わない黒木との共同生活に早くも嫌気を感じていた。そんな中、管内で美容室のオーナーが殺される強盗殺人事件が発生。防犯カメラに残った映像から、被害者が経営する美容室で働くカリスマ美容士の芳村(神尾楓珠)が重要参考人として連行される。しかし彼が何者かに嵌められたのではないかと考えた神崎は、真犯人を探そうと躍起に。ところが沈黙を続けていた芳村は、突然自分がやったと自供するのである。

 神崎と黒木が同期だった原作の設定を、異母兄弟へと大きく脚色している本ドラマ。今回のエピソードでは、原作の第1話にあたる「勲章」で描かれた事件がまったく異なるアプローチで描き直されている。原作ではホストクラブのオーナーであった被害者が、美容室のオーナーに変更されていること。芳村や小坂といった登場する関係者の名前がほぼ同じ立ち位置でありながら異なるキャラクターとして描かれていたこと。さらに物語のカギとなる猿をきちんと登場させたりと、要所要所で原作と繋がる描写が入れ込まれながらも、がらりと異なる印象を受けるのは、このドラマの持つ“人情派”としてのニュアンスが強く表出していたからに他ならないだろう。

 少年院を出てから9年間罪を犯していない芳村の更生をとにかく信じ、黒木からは「刑事が性善説に立ってどうする」と叱責される神崎。挙句に自分の発言が芳村に嘘の自供をさせることへとつながってしまうという苦悩に直面し、夜を徹して芳村が無実である証拠を見つけ出そうとする。一方で、そんな神崎に「刑事をやめろ」と厳しく当たる黒木もまた、ボートレースに行くと見せかけて芳村のいた少年院に単独で捜査に行くという、“検挙率ナンバーワン”の刑事らしい味わい深い働きをみせる(それにしても田中圭がボートレースに行くというのはCMつながりのユーモアだろうか)。

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