ハナコ 岡部大、『エール』“五郎さん”にハマりすぎ! “純愛”の体現者として欠かせない存在に?
現在も数多くの芸人が俳優として活動しているが、面白キャラや狂気的な人間などちょっと変わった役が多く、岡部のように連続で女優の相手役、しかもラブ展開に巻き込まれるというのはかなり珍しい。映画『ハンサムスーツ』で北川景子の相手役を務めた塚地武雄や、『奥さまは魔女』(TBS系)で米倉涼子、『ツレがうつになりまして。』(NHK総合)で藤原紀香の夫役を務めた原田泰造以来の立ち位置だ。
恥ずかしがり屋で真面目……という岡部の性格は、たしかにトーク番組では致命的かもしれないが、ドラマでは存分に活かされている。無骨ゆえに即座に恋愛対象になるわけではないが、人柄の良さが功を奏するタイプ。言ってみれば、『のび太の結婚前夜』でしずかちゃんのお父さんから「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ」と影で絶賛されるのび太に近い人間は、俳優ではなかなか体現しづらい。そこをあえて、岡部のような芸人が演じることで、素朴でほっこりとする純愛を表現できるのではないだろうか。実際にわたナギのスペシャルにおける岡部と高橋の初々しい場面は、「ずっと見ていられる」という声もSNSで挙がっていた。
9月14日放送の『エール』では、水戸の雑穀屋に奉公していた五郎が裕一に憧れて「弟子にください」とやって来た。礼儀正しく裕一に頭を下げ、まっすぐな瞳を向ける五郎の姿はまさしく好青年という印象。一方で、「恐縮です」と言いながら何度もご飯をお代わりする少年のような愛らしさも。そして、時を同じくして上京した梅。音と裕一は「年頃の二人が同居なんて……」と心配しながらも、「ないないないない」と全否定する。しかし、絶対にないと思われた2人の恋愛フラグが今後の展開で立っていく。
五郎は作曲家を、梅は作家を。これから太平洋戦争下の時代が到来し、これまで以上にシリアスな展開が予想されるが、しばしの間夢追う2人が織りなす心温まるラブストーリーに癒されてほしい。
■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日より放送再開
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、中村蒼、山崎育三郎、森七菜、岡部大、薬師丸ひろ子ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/