重岡大毅がディレクター役を好演 『誰も知らない志村けん』に込められた追悼の意

重岡大毅がディレクター役を好演 『誰も知らない志村けん』に込められた追悼の意

 「動く」をメインテーマにした今年の日本テレビ系列『24時間テレビ43 愛は地球を救う』の中で8月22日、『誰も知らない志村けん 残してくれた最後のメッセージ』が放送された。メインパーソナリティのひとりであるジャニーズWESTの重岡大毅を主演に迎え、今年3月29日に新型コロナウイルス感染症による肺炎でこの世を去った稀代のコメディアン、志村けんの知られざる素顔を描いた作品だ。

 例年、『24時間テレビ』内で放送されるドラマスペシャルといえば、難病に立ち向かう人々の闘病生活を描く作品が主だっていたものの、近年では著名人の生き様にフォーカスを当てた作品も見受けられるようになった。2017年に亀梨和也が主演を務めた『時代をつくった男 阿久悠物語』や、その翌年に中島健人が主演を務めた『ヒーローを作った男 石ノ森章太郎物語』など。しかし今年はそれらとも少し趣が異なる。純然たるドラマという形ではなく、関係者のインタビューと再現ドラマを重ねたドキュメンタリー番組のような作りとなっていた。

 重岡演じるテレビディレクターの青年が、あるスペシャル番組の企画を持って志村のもとを訪ねるエピソードから幕を開ける。そのスペシャル番組こそ、後に志村がメインMCを務めた日本テレビ系列の人気番組『天才!志村どうぶつ園』の前身となったものだ。それまでテレビ番組では“素の自分”を見せないことをモットーにしていた志村が、一度は断りながらもその番組を引き受けるに至った理由や、相葉雅紀をはじめとした共演者やスタッフたちとの交流の思い出などが淡々とつづられていき、その端々に、志村けんという人物の人柄を感じるエピソードが描かれていくのである。

 たしかに、突然の訃報からまだ5カ月弱しか経っておらず、ましてや新型コロナウイルスの状況も一向に収束する気配がないだけに、放送前から時期尚早ではないかという意見が飛び交っていたことも納得せざるを得ない。それでも、番組制作に携わるスタッフの視点から見た志村けんの一面というのは、他の追悼番組で取り上げられてきたものとはまた違う印象を受けるものだ。ドラマ作品と呼ぶには不十分な部分は否めないが、それでも日本テレビがこのタイミングでできる哀悼の意は強く感じずにはいられない。結果的に、劇中にも何らかの形で登場した『天才!志村どうぶつ園』の共演者たちがビートルズの「Let It Be」を歌い上げるという、あらゆる番組の形式をまたぐ流れも、実に『24時間テレビ』らしさがあったといえよう。

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