劇場版『Fate』3作連続で初登場1位 コロナ禍の「空気」を読まなくてもいい作品?

劇場版『Fate』3作連続で初登場1位 コロナ禍の「空気」を読まなくてもいい作品?

 先週末の動員ランキングは、『劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」III.spring song』が土日2日間で動員27万人、興収4億7500万円をあげて初登場1位を獲得した。実はこの数字は、先週末に初日を迎えた『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の初週土日2日間の興収を上回るもの。「『Fate』が『ドラえもん』を超えた」というのは言い過ぎだが、コロナ禍の映画興行における10代20代向け(原作のPCゲーム『Fate/stay night』はもともとアダルトゲームだったわけだが)作品の通常と変わらない強さと、ファミリー層向け作品の困難さが改めて浮き彫りになったと言っていいだろう。

 これで3作連続して初登場1位という快挙を成し遂げた『Fate/stay night [Heaven’s Feel] 』シリーズだが、今作についてはコロナ禍における「非メジャー配給(アニプレックス)」による「熱心なファンダム向けのアニメ作品」という視点からも注目していた。というのも、当初3月28日に公開が予定されていた同作だが、同時期公開予定の作品はメジャー作品、非メジャー作品を問わずほとんどの作品が公開延期を発表する中、延期が発表されたのが公開2日前の3月26日だった。また、最初に発表された新たな公開日も4月25日という、今から振り返れば非常事態宣言真っ最中というありえない日程だったわけだが、そこからは「可能な限り最短の延期の線を探りたい」という配給サイドの強い意向が伺えるものだった。

 結果的に8月15日の公開となった『劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」III.spring song』だが、前作『劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」II. lost butterfly』のオープニング興収と同水準(たった3%のダウン)という今回の成績は、当初のギリギリの線を探ったリスケジュールの方針自体は、社会的なコンセンサスが得られたかどうかは別として、必ずしも間違いでなかったことを示していると言ってもいいだろう。なにしろ、感染者数だけで見たら、現在よりもむしろ4月の方がマシだったわけだから。

 実際のところ、現在のコロナ禍における映画興行の実態は、その「社会的コンセンサス」をめぐってのせめぎ合いと言ってもいいかもしれない。緊急事態宣言中の5月15日に公開されて、その後、5週連続で1位を獲得した幸福の科学出版製作、日活配給の『心霊喫茶「エクストラ」の秘密 The Real Exorcist』の興行は極端な例かもしれないが、その作品にとって「社会的なコンセンサス」、言い換えるなら「世間の空気を読む」ことがどれだけ重要視されるかが、結果的に興行の結果にも表れている。

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