金井勇太、バイプレーヤーとしての“普通力” 『MIU404』スパイダー班として堅実な仕事ぶり
金曜ドラマ『MIU404』(TBS系)に登場する魅力あふれるキャストの中でも、糸巻貴志を演じる金井勇太の存在は独特で面白い。W主演の綾野剛と星野源が所属するのは、架空の臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」で、あくまでも初動捜査を担当している。勤務は24時間制で、タイムリミットが過ぎれば専門の課に捜査を引き継ぐ。
金井演じる糸巻は、「警視庁刑事部・第1機動捜査隊」のスパイダー班の班長。防犯カメラの映像解析やSNSのリアルタイム監視ほかWEB分析など、24時間というタイムリミットが設定された中で事件の核心に迫る映像やSNSに漂う重要なキーワードをピックアップする役割を果たす。
説得力のある演技で事件解決へと一気に流れを変えるおいしい役柄でも、決してでしゃばりすぎることはない。かといって地味になりすぎるわけでもなく、金井勇太はバイプレーヤーとして絶妙なポジションをキープしているように思われる。
星野源と金井勇太といえば、2004年公開の映画『69 sixty nine』を思い浮かべる人もいるだろう。1987年に刊行された村上龍の自伝的同名小説を李相日監督がメガホンを取り、宮藤官九郎の脚本で映画化。1969年の佐世保の高校を舞台に、矢崎剣介(妻夫木聡)と山田正(安藤政信)、岩瀬学(金井勇太)らの青春を描いた作品で、高校をバリケード封鎖したり、フェスティバルを開催しようと奔走する彼らの学生生活が綴られる。
妻夫木演じる主人公のケンや、安藤演じるケンの親友でイケメンで頭のいいアダマは学校でも目立つ存在だが、その2人には距離を感じつつ、それでも仲間でいたいという、最も説得力を発揮する“普通の男子高校生”イワセを金井勇太は演じていた。
ドラマ、映画とさまざまな作品に出演し続けている金井だが、デビューは1998年公開の映画『ズッコケ三人組~怪盗X物語~』で一般公募オーディションにより、主役デビュー。2000年には山田洋次監督の映画『十五歳 学校Ⅳ』で主役の川島大介を演じて第24回日本アカデミー賞新人賞を受賞するなど、30代半ばにして20年以上もキャリアを積んでいることになる。