『MIU404』でのさらなるサプライズにも期待 不条理に立ち向かう『アンナチュラル』を振り返る
脚本を手掛けた野木亜紀子にとって、『アンナチュラル』は、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の大ヒットを受け、満を持して挑んだオリジナルの連続ドラマ作品となった。社会的な視点を内包した野木脚本は、現代の病巣を探り当てることが多い。『アンナチュラル』でも、その後の新型コロナウイルス感染症の拡大を予見するようなパンデミックや、過重労働の問題が取り上げられており、幅広い分野に取材したディテールの掘り下げは『MIU404』でも健在だ。
『MIU404』で映し出されるのは、行き場をなくした人々の姿だ。多くの人のために居場所を作ってきた人物が、自身の居場所を奪われて凶行に及んでしまう悲劇の連鎖は、「不条理な事件に巻き込まれた人間が、自分の人生を手放して、同じように不条理なことをしてしまったら、負けなんじゃないんですか!」と叫ぶ『アンナチュラル』の主題が再来しているようだった。
最終話のエンディングで「Their journey will continue.」のテロップが流れ、今なお続編への期待が高い『アンナチュラル』。時系列的に後のエピソードである『MIU404』は、他にも西武蔵野署の刑事・毛利忠治(大倉孝二)と向島進(吉田ウーロン太)が登場し、遺体の執刀医としてミコトの名前が記載されるなど、『アンナチュラル』と同じ世界線でストーリーが展開する。はたしてミコトや東海林の登場はあるのだろうか? ドラマ終盤にかけてさらなるサプライズを期待したい。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
金曜ドラマ『MIU404』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、黒川智花、渡邊圭祐、金井勇太、生瀬勝久、麻生久美子、黒川智花
脚本:野木亜紀子
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、加藤尚樹
プロデュース:新井順子
音楽:得田真裕
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS