『私たちはどうかしている』はまるで“現代版ロミジュリ”? ドラマに光る様々な“おいしさ”
浜辺美波と横浜流星がW主演を務めることが決まり、絵面的にも美しい2人のキャスティングに原作漫画ファンも沸き立ち、この日を待ち望んでいただろう。『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)の放送がついに始まった。
筆者も例に漏れず原作の大ファンで、ドラマ化が決まったときには歓喜し、さらに配役、主題歌と全貌が徐々に明らかになるにつれ、期待に胸膨らませながら今日という日を指折り数えて待っていた。
“ラブミステリー”と称されるだけあって、本作の見どころはまず恋愛モノの王道要素に加え、過去の事件に隠された犯人探し、真相究明に見る昼ドラ級の愛憎劇にある。舞台は老舗和菓子屋・光月庵。主人公の七桜(浜辺美波)の母親が住み込みで働いていた職場であり、七桜はそこで光月庵の将来の当主・椿(横浜流星)と幼なじみとして育てられた。
しかし、とある事件が起き、その犯人として濡れ衣を着せられた母親は逮捕され、七桜も追い出されることに。それから15年の年月を経て、和菓子職人となった七桜に舞い込んだのは、運命のいたずらか椿との菓子対決だった。そこから話は一気に飛躍し、本当に「どうかしている」展開に。七桜をかつての幼なじみだと気づいていない椿だが、彼女の和菓子作りの腕と意志の強い目に魅せられ、光月庵の将来のために、また自身の母親が持ち掛けてくる縁談話を断るために、あろうことか七桜に結婚話を持ち掛けるのだ。
事件の真相解明のために、憎き光月庵に嫁入りすることを決意する七桜。かつて時を共にした幼なじみという淡い関係性でありながら、結ばれてはならない因縁の2人が再会したときに始まる許されざる恋は、さながら“現代版ロミジュリ”だ。そして老舗和菓子屋に隠されたお家事情、秘密とは。これから七桜がその真相に迫っていくさまもスリリングであるが、互いにどんどん惹かれ合っていく中で、真実を知ってしまったときに変わってしまいかねない、壊れてしまいかねない2人の関係性に戸惑い躊躇し、引き裂かれそうになりながら、それでも自身の運命に一矢報いようとする主人公の姿にどうしても惹き込まれてしまう。その先に待っているものとは……光なのか闇なのか。