『アンサング・シンデレラ』第1話から痛快な医療ドラマに 『あな番』キャストの再集結にも注目

『アンサング・シンデレラ』第1話から痛快な医療ドラマに 『あな番』キャストの再集結にも注目

 新型コロナウイルスの影響により放送が延期となっていた木曜ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)が、ついに7月16日からスタートする。原作は『月刊コミックゼノン』で連載中の『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』(荒井ママレ/医療原案:富野浩充)。法医学生が奮闘する『ヴォイス~命なき者の声~』や、初めて放射線科医を主人公とした『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』など、これまで様々な角度から医療従事者に焦点を当ててきたフジテレビの新作・医療ドラマだ。

 主演は『Ns’あおい』(2006年)以来、14年ぶりにフジテレビのドラマで医療従事者を演じる石原さとみ。第103回ドラマアカデミー賞で最優秀作品賞ほか、5冠を達成した『グランメゾン東京』(TBS系)の黒岩勉が脚本を担当する。

“アンサング”=褒められない薬剤師たち

 石原演じる主人公・葵みどりの職業は、現在全国で30万人以上が従事している薬剤師。薬剤師といえば、多くは薬局やドラッグストアで働いている人たちを思い浮かべるかもしれないが、本作は病院施設で働く“病院薬剤師”の舞台裏を描く。薬剤師が主人公となるのは、日本の連ドラ史上初。私たちは病院に行き、何らかの診断を受ければ、必ずと言っていいほど薬局で処方された薬を受け取る。その際に、薬剤師から直接薬の説明を受けるが、意外にも彼らの仕事内容や実態について知る機会は少ない。

 調剤薬局やドラックストア、病院施設に加え、製薬会社や自治体など、働く場所によって薬剤師の仕事内容は異なるが、薬を調剤するだけではなく、薬品の管理や服薬指導……さらに病院薬剤師は、入院患者の服薬管理やカンファレンスへの参加など、その業務は多岐にわたる。

 しかも、薬剤師はただ処方箋に沿って、薬を調剤しているわけではない。1日に処理される処方箋は、なんと220万枚と言われているが、うち6万枚以上が疑義照会(処方箋に疑わしい点がある場合、薬剤師が発行した医師に問い合わせること)がかけられている。薬は患者の命を守るものだが、他の薬との組み合わせや患者が持つアレルギーによっては副作用が出たり効果が薄まったりするため、患者にとって薬剤師は最後の砦。病院に行くことがゴールではなく、薬を飲みながら元の日常に戻っていく患者の生活を薬剤師は守っていると言っても過言ではない。まさに“アンサング”=褒められないが、縁の下の力持ちとして活躍する薬剤師の舞台裏が本作では描かれる。

薬オタクの主人公は逆境をどう乗り越える?

 主人公の葵みどりは、万年人不足の総萬津総合病院薬剤部に勤務する薬剤師。内科・小児科・整形外科・産婦人科など複数の診療科を持ち、入院患者だけではなく、外来患者や急患が訪れる院内で日々業務に追われている。1人の患者に時間をかけていてはとてもじゃないが手が回らない。それでもみどりは調剤室にこもることなく、積極的に病棟へ足を運び、患者と触れ合う。新薬が出れば、必ず味見をする薬オタクの勉強家(?)。そんな熱血薬剤師を石原さとみが演じる。

 原作のみどりは薬剤師歴2年だが、ドラマではキャリア8年目。疑義照会のたびに嫌な顔をする医師の扱いや、感謝されない現実にも慣れているが、患者と真摯に向き合う心は失っていない。その姿は石原がこれまで演じてきた働く女性、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)の悦子、『アンナチュラル』(TBS系)のミコトにも通ずる。特に『アンナチュラル』では社会が抱える問題に切り込んだこともあり、“女性は感情的で未熟”という女性蔑視を受けるミコトの苦難も克明に描かれたが、彼女たちは仕事に対して全力だからこそ、それを良く思わない人間から足を引っ張られやすい。けれどそんな逆境にも負けず、確実に信頼を勝ち得ていく姿は見ていて痛快だ。今回も患者の命を預かる緊張感に溢れた医療現場が舞台なだけに、同僚や医師、患者との意見対立は逃れられないだろうが、それを石原演じるみどりがどのように乗り越えていくのか楽しみだ。また、石原がドラマに出演すると衣装も話題になるのがお馴染み。トレードマークのお団子ヘアと合わせて、みどりの私服姿も披露されるか注目したい。

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