アニメ、リメイク版、実写ドラマに続き再びアニメ化 何度も甦る『妖怪人間ベム』の魅力

「はやく人間になりたい!」

 主題歌の中に登場する台詞のキャッチーさと相まって、いまだに多くの人の記憶に残るホラータッチのテレビアニメが『妖怪人間ベム』(1968年)だ。

『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』(c)ADK EM/劇場版BEM製作委員会

 ひとつの細胞が3つに分裂し、人間でも動物でもない生物が生まれた。醜い姿の中に正義の心を宿していた彼らは、悪い妖怪を退治し続ければ、いつの日か人間になれるかも知れないという希望を抱いて、さまざまな町を旅してゆく。壮年男性の人間を模したベム、長身の女性の姿をしたベラ、10代の子供の姿をしたベロの3人は、時に旅先の人間と心を通わせ、時に人間に迫害されながらも、人間社会に仇なす妖怪と戦い続ける。舞台は日本ではない無国籍風な設定で、怪奇色の強い独特な作画が人気を博し、放送が終了したあとも幾度かの再放送と、数回のビデオグラム化の機会に恵まれた。

 本作は人間が持つ心の美しさと醜さの両面を描きつつ、時には妖怪よりも残酷な人間の行為に傷つきながら、それでも憧れを持って人間になりたいと願う主人公たちの生きざまが、当時の視聴者の心を捉えたといえる。そんな作品の基本的骨子はそのままに、2006年には新たなスタッフ、キャストによってリメイク版『妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-』が制作された。ベム、ベラ、ベロのキャラクターデザインは、前作よりも若干柔らかい表情になり、妖怪人間の醜い本当の姿を知りつつも理解者となる、人間側のレギュラーキャラが設定されるなど、時代に合わせたマイナーチェンジも随所に行われている。リメイク版のベムたちは前作のような流浪の旅をせず、とある街に滞在しながら妖怪退治を続けて、番組は半年間の放送をまっとうした。

 『妖怪人間ベム』の映像作品はアニメのみに留まらず、実写にもなった。亀梨和也、杏、鈴木福の共演で制作された2011年放送の日本テレビの連続テレビドラマだ。この実写版でも基本設定はアニメ版の前2作品に忠実で、旧アニメ版のアバンタイトル(どこかの実験室で生まれた妖怪人間たちが咆哮をあげる)を実写で再現したり、ドラマのキャッチコピーに「はやく人間になりたい」を使うなど、多分にアニメ版にリスペクトを捧げた作りだった。ベムたちのよき理解者になる夏目刑事とその家族がレギュラーとして登場し、3人の妖怪人間が特定の街に滞在して怪異を解決してゆく展開は、偶然ながらアニメ第2作目に共通する部分がある。

 アニメ版のベムの人間態が40~50代ぐらいのスキンヘッドの男性であるのに対し、実写版ではアイドルグループKAT-TUNのメンバー、亀梨和也をキャスティングしたことから、放送開始前は「イメージが違う」と違和感を訴える声もあったが、スタッフの真摯な制作姿勢とキャスト陣の熱意ある演技、「人間は不完全な生き物である」という作品のメッセージ性などが大きく評価され、第49回ギャラクシー賞をはじめ、さまざまな受賞によって大成功を収めた。連続ドラマ終了の翌年、同じスタッフ、キャストで劇場用映画も公開されている。

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