『GODZILLA ゴジラ』再び地上波へ “モンスターバース”原点としての魅力

ハリウッド版『ゴジラ』の魅力とは?

 今から22年前、アメリカの映画会社トライスター・ピクチャーズが、ハリウッド版ゴジラを製作した。ローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』(1998年)だ。興行面での成功を収め、モンスター映画としては肯定的にとらえる声がある一方で、ゴジラのデザインや、その最期をめぐる当時の評価は決して芳しいものではなかった。

 その後16年の月日を経て作られた新たなハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014年)が、6月20日にフジテレビ系で地上波放送される。

 製作を務めたのは、『バットマン・ビギンズ』(2005年)や『スーパーマン リターンズ』(2006年)で、21世紀のスクリーンにバットマンとスーパーマンを甦らせ、『パシフィック・リム』(2013年)では、日本の巨大ロボットアニメを大作スケールの実写でやってのけるなど、意欲的な作品をつぎつぎと世に送り出したアメリカの映画会社レジェンダリー・ピクチャーズ。そのレジェンダリー・ピクチャーズが東宝と提携し、作り出したのがギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』である。しかもレジェンダリー・ピクチャーズには、キングコングやゴジラが同じ世界観を共有する“モンスターバース”というクロスオーバー・プロジェクトの構想があり、本作はその記念すべき第1作という扱いだった。

 ギャレス・エドワーズ監督は『モンスターズ/地球外生命体』(2010年)で、低予算でも鑑賞に堪えうるパニック映画を撮って、多くの映画賞を獲得していた。このインディペンデント映画のヒットを評価され、彼はゴジラ映画のプロジェクトに招かれることになる。

 ゴジラのデザインは、ややマッシブながらも東宝映画版に沿ったシルエットで、その出自も核実験によって目覚めた太古の巨大生物というオリジナルに準じたものだった。渡辺謙が演じた芹沢猪四郎博士のネーミングは、東宝の『ゴジラ』(1954年)の登場人物・芹沢大助と、監督の本多猪四郎にリスペクトを捧げたもの。

 劇中で渡辺演じる芹沢博士が、巨大怪獣の名を日本流の発音で「ゴジラ」と初めて口にするシーンは、アメリカのワールドプレミア上映で万雷の拍手を浴びたほどだ(アメリカ流の発音では本来「ガッズィーラ」となる)。物語の中心となるブロディ一家の家族愛をメインに、アメリカ人が感情移入しやすいドラマの軸を通しつつ、世界中のゴジラファンへの目配せを欠かさないギャレス監督の演出ぶりは、日本のみならず海外の観客からも好意的に迎えられ、全世界での興行収入530億のヒットを記録した。本作の大成功により、レジェンダリー・ピクチャーズは当初の構想通り、モンスターバースのシリーズ化を本格的に動かすことになる。

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