渡辺大知が語るジャームッシュと『パターソン』 「生きていること自体が映画になってしまう感覚」

渡辺大知が『パターソン』を語り尽くす

「1人の人間としてもジャームッシュにシンパシーを感じるところがある」

ーー渡辺さんは2015年に公開された『モーターズ』で監督も経験されていますよね。映画を撮る上でジャームッシュの影響もあったんですか?

渡辺:それはめちゃくちゃありましたね。さっき言ったような『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から受けた衝撃は、自分の土台になってると思っていて。今後どうなるかはわからないですけど、『モーターズ』は初めて自分で撮る映画だからこそどんどん実験しようという思いで、当時自分がやりたいことを全部詰め込むような気持ちで撮りました。カメラは作為的に動かしまくったりしましたが、主演の渋川清彦さんにはすごくオフビートな演技をしていただきました。そういうオフビートな感じは、やっぱりジャームッシュからの影響が強かったなと思います。というか、部屋のシーンを撮る前に『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観返した気もしますね(笑)。

ーーめちゃくちゃ影響受けてますね(笑)。

渡辺:そうでした(笑)。カメラマンさんに「ここはちょっと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の最初に部屋のシーンをイメージして撮ってほしい」とか言ってたような気がします。モロに影響受けてますね。

ーー芝居の面でも受けている影響はあるんですか?

渡辺:具体的にどう影響を受けてるとかはないと思うんですけど、自分が演技をするときに一番大事にしてるのが、先ほどの話にも通じる、“その世界でいかに普通に生きれるか”ということなんですよね。“普通”って難しいんですけど、その世界の中で、地に足がついてる状態で息をしていることをものすごく重要視しています。だから、「こういう芝居を見せてやろう」とか一度も思ったことがないんです。呼吸の仕方だったり、心臓の鼓動みたいなことを意識しながら、きちんとその世界に存在することを常に考えてます。そういう感覚は、ジャームッシュに限らず自分が好きになった監督たち、自分が好きになった映画に出てる人たちに共通してることなのかもしれません。

ーージャームッシュとは“音楽”という共通点もありますよね。

渡辺:大ファンであると同時に、同じものを好きになりそうだなと勝手に思ってます。バーで横に並んだら、共通の趣味で盛り上がれるんじゃないかなと(笑)。ジャームッシュもそうですが、マーティン・スコセッシだったり、アキ・カウリスマキだったり、エミール・クストリッツァだったり、自分が好きになる映画監督は音楽の匂いのする人がやっぱり多いですね。自分でバンドをやったり、バンドマンを自分の映画に出したりする監督には、やっぱりちょっと惹かれてるようなところが照れ臭いながらもありますね。そういう人に惹かれるようなタチだから、いつの間にか音楽をはじめてたんだろうし、いつの間にか映画のお仕事もさせていただいているのかなと思います。僕が一番大事にしてるのが、「いい鑑賞者になりたい」「いいファンになりたい」ということなので、好きが高じて、気付いたら自分でもやっていた感じなのかもしれません。そういう意味では、1人の人間としてもジャームッシュにシンパシーを感じるところはありますね。

ーーちなみに、一番好きなジャームッシュ作品は何ですか?

渡辺:その質問はめちゃくちゃ難しいですね……。そのときの気分によって『ナイト・オン・ザ・プラネット』だったり『ミステリー・トレイン』だったり……でも一番回数多く観てるのはやっぱり『ストレンジャー・ザン・パラダイス』ですね。『パターソン』も捨て難かったり、難しいです(笑)。あとは『デッド・ドント・ダイ』もまだ観ることができてないので、またジャームッシュにワクワクさせてもらえることを楽しみにしています。

■渡辺大知
1990年8月8日生まれ。兵庫県神戸市育ち。ミュージシャン・俳優
高校在学中の2007年にロックバンド「黒猫チェルシー」を結成。ボーカルを務める。
2010年にミニアルバム『猫Pack』にてメジャーデビュー。
高いスキルと熱量を持ったLIVEを武器に各地で支持を拡げる一方、
『アナグラ』(アニメ『銀魂』EDテーマ)
『青のララバイ』(アニメ『NARUTO』EDテーマ)
『ベイビーユー』(映画『勝手にふるえてろ』主題歌)
などの楽曲も大きな話題となる。
(2018年10月に黒猫チェルシーは活動休止)
音楽活動と並行して俳優としても活動を拡げる。
デビュー作となる映画『色即ぜねれいしょん』(2009年公開)では
日本アカデミー賞新人俳優賞授賞を受賞、数々の映画やドラマに出演。
また、初映画監督作品『モーターズ』(2014年)で
”PFFアワード・審査員特別賞”を授賞するなど多彩な才能を開花させている。

■リリース情報
ジム・ジャームッシュ監督×ロングライド コラボ  「パターソン」Tシャツ
期間限定発売中
販売サイト:https://longride-movie.stores.jp/

『パターソン』
Blu-ray&DVD発売中

【Blu-ray】
価格:4,800(税別)
仕様:本編1枚/118分/片面二層/カラー/1080pHigh Definitionビスタ/音声:1. 英語DTS-HD Master Audio5.1ch、2.英語リニアPCM2.0ch /字幕:1.日本語字幕

【DVD】
価格:3,800円(税別)
仕様:本編1枚/118分/片面二層/カラー/16:9ビスタ/音声:1. 英語ドルビーデジタル5.1ch、2.英語ドルビーデジタル2.0ch /字幕:1.日本語字幕

<特典映像>
・劇場予告編
・オリジナル予告編

<初回限定特典>
・特製スリーブケース
・7連ポストカード

出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏ほか
監督 ・脚本:ジム・ジャームッシュ
2016年/アメリカ/原題:PATERSON/日本語字幕:石田泰子
提供:バップ、ロングライド
発売元・販売元:バップ
(c)2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://longride.jp/paterson-movie/

■公開情報
『デッド・ドント・ダイ』
全国公開中
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー、ダニー・グローヴァー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、イギー・ポップ、セレーナ・ゴメス、 トム・ウェイツ
提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド
2019年/スウェーデン、アメリカ/英語/104分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/原題:The Dead Don’t Die/日本語字幕:石田泰子
Credit : Abbot Genser / Focus Features (c)2019 Image Eleven Productions, Inc.
(c)2019 Image Eleven Productions, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://longride.jp/the-dead-dont-die/

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