なぜ学園アニメーションは生徒会を描くのか? 『かぐや様は告らせたい?』を機に考える
名門校の生徒会長と副会長が互いに相思相愛でありながら、プライドの高さから決して言葉や態度にそれを出さず、いかに相手に「好きだ」と告白させるか? そんな心理戦をコメディ仕立てで描くアニメ『かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~』が現在テレビで放送中だ。2019年1月にテレビアニメ第1期が放送され、その好評を受けての第2期が2020年4月からスタート。第1期のメインキャラクターはそのままに、第2期では新キャラクターも加わって、生徒会の中で繰り広げられるドタバタやコミカルさは、ますますエスカレートしている。
生徒会長の2年男子・白銀御行は、エリート揃いの学園内では珍しい一般階層の家庭出身でありながら努力型の天才。副会長の2年女子・四宮かぐやは大財閥の令嬢で、勉学から武道、音楽に至るまでそつなくこなす生まれもっての天才。書記の2年女子・藤原千花は政治家や外交官の血筋を引く家に生まれ、空気を読まない天然キャラの上に厚顔無恥ときている。会計の1年男子・石上優は、千花にいじられながらもマイペースな後輩ぶりを発揮する、洞察力の鋭い苦労人。そんな個性的な面々に加え、第2期では上級生に対してもズケズケとものを言う、融通がきかない真面目キャラの1年女子・伊井野ミコが生徒会に関わってくるのだ。
『かぐや様』は名門高校の生徒会という舞台に、さまざまな性格のキャラクターを配して、各個人の動きや台詞、オーバーなリアクションで視聴者を時に笑わせ、時に感動させ、キャラクター設定が実によく考えられている。
ここで生徒会を大きくフィーチャーした他の学園アニメに目を向けてみると、タイトルにズバリ生徒会というワードが入った『生徒会の一存』(2009年)と『生徒会役員共』(2010年)、女生徒だけで構成された裏生徒会と男子生徒の戦いを主軸にした『監獄学園(プリズンスクール)』(2015年)、主人公がギャンブルを通して学園を牛耳る生徒会と競い合う『賭ケグルイ』(2017年)など、枚挙にいとまがない。学園ものに生徒会という舞台装置が付き物なのはなぜだろうか?