映画『チア☆ダン』注目は若手俳優の共演 『3A』福原遥×富田望生に“ブレイク寸前”伊藤健太郎も

 創部からわずか3年で全米チアダンス選手権大会を制した福井県立福井商業高等学校チアダンス部の軌跡を映画化した『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』が、5月22日にTBS系列で放送される。県立高校に入学した広瀬すず演じる主人公の友永ひかりは、中学時代の同級生でサッカー部の男子を応援するためにチアダンス部に入部。顧問のスパルタコーチ早乙女薫子(天海祐希)が掲げる「全米制覇」と「恋愛禁止」を前に続々と部員が辞めていってしまう中、ひかりたち残されたメンバーは失敗を重ねながらも目標へと突き進んでいくという典型的なサクセスストーリーだ。

 本作といえば、映画公開の翌年に土屋太鳳主演で連続ドラマ版も制作された。そちらでは映画から数年後を舞台に、ひかりたちの活躍に影響を受けた主人公が近所の別の高校でチアダンス部を作り奔走していく物語が展開し、映画と同じ役柄で広瀬も特別出演。実話をベースに、“スポ根”というほど暑苦しくない青春模様と高校生たちが“部活を頑張る”姿が描かれ、映画から連続ドラマへとキャストを一新しながらもメインキャストを引き継がせることで繋げていくあたり、2001年に映画が公開されその後連続ドラマ版が2本作られた『ウォーターボーイズ』にも通じるものがある。

 そう考えながらこの『チア☆ダン』の映画を観直してみると、物語の構成のされ方も『ウォーターボーイズ』と重なって見える。ズブの素人たちがひとつの高い目標に向かってスタートを切り、悪戦苦闘を繰り返したり仲間同士でぶつかり合いながらも絆を深めていく姿でドラマ性と笑いを生み出す。そして映画全体の見せ場であるクライマックスまで徹底的に“完成形”が封印され、人前で披露して失敗するさまと、必死で練習を重ねていくことのみで“上手くなっていく過程”が表現されていく。実話を土台にして物語の帰結点が明確に見えている以上、いかにして観客の期待、つまりは“おあずけ感”を煽るかが見せ方として重要となっていくわけだ。

 この『チア☆ダン』において、その“おあずけ感”が最も高まるのは全国大会のシーン。円陣を組んで表に出た彼女たちの演目をまるっとカットして、裏に戻ってくるところまでをひと繋ぎで映し出す。その際の出入りの足取りの軽さが同じということだけで、彼女たちの自信の高まりと、パフォーマンスが成功したか否かを表していく。それがあるからこそ、彼女たちのパフォーマンスを見たいという気持ちがいやがうえにも高まり、クライマックスの高揚感が増すということだ。そうした娯楽映画らしい見せ方の上手さは、本広克行監督や堤幸彦監督ら娯楽映画を多数手がけてきた監督のもとで経験を積んできた河合勇人監督ならではといえるだろう。

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