『エール』鉄男と希穂子の恋の行く末は? 二階堂ふみ演じる音の変化にも注目

『エール』中村蒼と入山法子の恋模様

 「社交場に咲く花になる」とすっかりカフェーに取り憑かれていく音(二階堂ふみ)に対して、裕一(窪田正孝)は動揺を隠せないでいた。

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)の第43回では、カフェーを舞台に様々な人間模様が描かれる。初めこそ慣れずにいたカフェーの仕事は、独自のキャラクターを最大限に活かすことで、音にしかできない接客が指名を生むまでになっていた。そこには様々な事情を抱えたお客様が、癒しの場としてやって来る。

 ところが、あるお客に無愛想にされ、挙げ句の果てに、注いだお酒をかけられた音は、倍返しかというくらいにお客様に、大量のお酒をかけ返してしまった。感情がすぐに表に出てしまうという悩みを打ち明けた音に、希穂子(入山法子)は「でもそれが音さんのチャームポイントかもね」と伝える。

 音と希穂子は、自分の持っていないものを持っているお互いを尊敬し合っているようだ。特に音から希穂子への尊敬の念は思わず言葉になってすぐに漏れる。これも良くも悪くも音のすぐに口に出てしまう性格がよく出ている。

 恋愛の機微を学ぶためにカフェーで働くことにしたと伝える音は、希穂子にカフェーで恋愛をしたことがあるかを聞くと、希穂子はどうかしらとその場をはぐらかすような仕草を見せた。

 音が指名されて向かうと、そこには乃木大将こと村野鉄男(中村蒼)が待っており、希穂子と恋人であったことが明らかになった。

 奇跡的な再会により、物語が思わぬ方向に発展していく『エール』であるが、今回は鉄男と希穂子がそうである。鉄男と希穂子の両想いであるのに外部環境が原因で一緒になることができない関係は、まさに音が挑んでいる役のヴィオレッタとその相手であるアルフレードの両想いであるのに、親に結婚を反対されていて離れざるを得なくなった関係を彷彿とさせる。

 SNSでは、鉄男に対して「縁談をすぐに断っていれば一緒になれたのに」「希穂子にゾッコン」など、様々な意見が飛び交っていた。

 鉄男が東京に用事があると赴いていたのは、希穂子を探すためであったのだろう。希穂子のことを優しくて健気だと褒めていた鉄男であるが、鉄男も相当に一途で健気な一面がある。乃木大将の頃とのギャップが著しい。

  これから鉄男と希穂子の行く末はどうなっていくのか、そして2人の恋路に触れた音がそれをどのように自らの表現に加えていくのか。大きな変化が各々に起こりそうな予感がしている。

■岡田拓朗
関西大学卒。大手・ベンチャーの人材系企業を経てフリーランスとして独立。SNSを中心に映画・ドラマのレビューを執筆。エンタメ系ライターとしても活動中。TwitterInstagram

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
NHK総合にて、2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、古田新太、中村蒼、仲里依紗、野間口徹、入山法子、野田洋次郎、斉木しげる、春花、黒沢あすか、立花恵理、小南満佑子、清水葉月、金澤美穂、蔵原健ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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