『野ブタ。』文化祭回は心にしみる好エピソードに 亀梨和也と山下智久のタッグが象徴するもの

 『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)の放送開始の目処が一向に定まらない中、3週目に突入した『野ブタ。をプロデュース』特別編。4月25日に放送された第3話は、『野ブタ。』の中でも指折りの好エピソードである。学園ドラマというジャンルにおいて「文化祭」のエピソードというのは「修学旅行」と「卒業式」に並ぶ重要なもの。“青春の終わり”が迫っていることを示す「修学旅行」と、明確な“終わり”を示す「卒業式」に対し、「文化祭」にはそうした物哀しい雰囲気は付きまとわず、わちゃわちゃした空気感が“青春のピーク”を象徴しているのだ。

 

とはいえこの『野ブタ。』における「文化祭」は、ちょっとばかしセンチメンタルな空気を伴っている。ヒロインの信子(堀北真希)と継父との関係や、主人公たち3人にも通じる20年前の学生たちの生き霊。“楽しさ”とは何かという疑問や、“出会い”という奇跡の大切さ。そして修二(亀梨和也)が彰(山下智久)と信子の姿を通して自分が“空っぽ”であると気付きはじめること。スクールカーストの脆弱さが露呈しはじめると同時に、高校生の時分でしか味わえない感情と、成長ともいえる変化のチャンスがしっかりと描写されているのである。15年経って改めて観てみると、当時とまったく違って見え、より一層心にしみるエピソードだと感じずにはいられない。

 そんなエピソードのクライマックスで修二がボソリとつぶやく「そしていつか、二度と会えなくなるんだよな」というさりげなくも切ない言葉。おそらく高校生の頃思っていた以上に、大人になってみると当時の友人と会う機会はぱたりと減ってしまうもので、しかもそれが当たり前のことと思えるようにすらなってしまうものだ。だからこそ『野ブタ。』から12年経って、同じ土曜の日本テレビ系列で放送された『ボク、運命の人です。』で亀梨と山下が再共演を果たしたときに、どことなく学生時代の友人に再会したような喜びを覚えた人も少なくないのではないだろうか。

 ジャニーズの次代を担うスター候補生だった“修二と彰”から、ジャニーズを代表する紛れもないスター同士となった“亀と山P”に変化した亀梨と山下のコンビネーション。それでも『ボク運』の中では、時折『野ブタ。』を思わせるようなかけ合いが度々登場し、この上ない安心感がドラマ全体を包み込んでいた。それはつまり、『野ブタ。』世代にとっていかにこの『野ブタ。』という作品が当事者意識を持たずにはいられない作品だったかを改めて証明してくれたということでもある。『野ブタ。』第3話の中で信子が彰に言う「後になってみないとわからない」という台詞は、決して“楽しさ”に限ったことではないのかもしれない。

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