『麒麟がくる』本木雅弘が恐怖を与える存在に 顔を血で染めた絶叫シーンに鳥肌
斎藤高政(伊藤英明)の家督相続を案ずる者の存在が一気に明るみになった『麒麟がくる』(NHK総合)。第15回「道三、わが父に非ず」では、正室の息子であり、高政の弟にあたる斎藤孫四郎(長谷川純)と斎藤喜平次(犬飼直紀)が暗殺される。
どうにも父に愛されていないという孤独を拭えない高政。母親である深芳野(南果歩)の死をきっかけに、道三(本木雅弘)に家督を譲れと迫り、その座を手に入れたにも関わらず、気持ちは落ち着く様子を見せなかった。公式サイトに記載される「第15回トリセツ」にもあるように、暗殺された孫四郎と喜平次は、高政と同じ道三の子でありながら正室から生まれている。一方で高政は、側室の子、正室の子を差し置いて家督を譲ってもらったにも関わらず、未だに本当の父親は土岐頼芸(尾美としのり)だと家臣の前で叫び、道三を恨みつづけている。
いつまでも落ち着かず余裕のない“小物感”に溢れた高政の様子は、信秀(高橋克典)がいよいよ倒れそうだというときの織田家の会議で見せた信長(染谷将太)のご乱心ぶりを想起させる。父親との確執の中に悩みもがくという点においては高政と信長は似た者同士。しかし、信長には手練れの嫁・帰蝶(川口春奈)がついていた。信長の心を落ち着かせ、冷静に次の一手を進められるように奸計を巡らす。対する高政の心の拠り所は十兵衛(長谷川博己)しかおらず、その十兵衛はいつだって道三との間で板挟みであった。これでは心の平穏など訪れるはずもないだろう。
“最強の嫁”との呼び声高い帰蝶だが、今回も例に漏れず、信長と対立関係にある織田彦五郎(梅垣義明)を暗殺するために織田信光(木下ほうか)に「碁を打つ」ことをふっかける。みたらし団子を食べるシーンで信光に語りかける帰蝶の言葉だが、「碁」は「(彦)五(郎)」、「打つ」は「討つ」のダブルミーニングになっていると思われる。「打ちにお行きになればよろしいかと、碁を」「お迷いにならずお行きになればよい、行ってお打ちになればよろず片がつくというもの」と美しい瞳を輝かせながら話す帰蝶の言葉は、なかなかの含みがある。