『デジモンアドベンチャー:』はストーリーを完全一新 時代背景を映し出した新シリーズに
1999年の放送以来、私たちを取り巻く環境は大きく変化してきた。それはミクロな意味でのネット環境も同様で当時とは全く様相が違ってきている。デジタルとリアルな世界に明確な分断があった1999年と、その境がなくなりつつある2020年では、ネットの捉え方も大きく違っているのは間違いない。
今回初回放送を迎えた『デジモンアドベンチャー:』は当時のキャラクターはそのままに、完全にストーリーは一新されている。いわば現代に適合するように組み直されたストーリーに生まれ変わっているのだ。
時代背景の変化とともに、太一たちが持つデバイスも一新されており、スマートフォンやタブレット端末といった最新機器が登場する。第1話の冒頭で太一がニュースを見ようとスマートフォンを手にする。何気ないが現代を象徴する重要なシーンだったように思う。
第1話で太一たちの身に起こったのは、まさにサイバーテロというインターネットが全世界的に普及した今だからこそ身近に感じるテーマだ。デジタルクライシスが単なる仮想空間だけで完結するものではなく、現実世界にも影響を与えるというのはデジモンのこれまでのシリーズでも描かれていたが、ネット社会といわれる昨今の状況が理解を容易くする。
まだ第1話が始まったばかりだが、今後の期待が高まる初回であったことは間違いない。これからどういう類のデジタルクライシスが起こるのか、まだ登場していない“選ばれし子どもたち”と太一らの出会いなど、『デジモン』シリーズを見てきたファンとして楽しみに待ちたいと思う。
■川崎龍也
音楽を中心に幅広く執筆しているフリーライター。YouTubeを観ることが日課です。Twitter:@ryuya_s04
■放送情報
『デジモンアドベンチャー:』
フジテレビほかにて、毎週日曜9:00~9:30放送
声の出演:三瓶由布子、浪川大輔、白石涼子、小林由美子、高野麻里佳、草尾毅、潘めぐみ、和多田美咲、坂本千夏、山口眞弓、重松花鳥、櫻井孝宏、山田きのこ、竹内順子、松本美和、園崎未恵
ナレーション:野沢雅子
原案: 本郷あきよし
プロデューサー:江花松樹(フジテレビ)、佐川直子(読売広告社)、櫻田博之(東映アニメーション)、高見暁(東映アニメーション)
シリーズ構成:冨岡淳広
音楽:佐橋俊彦
美術設定:天田俊貴
美術監督:木下了香
色彩設計:竹澤聡
キャラクターデザイン:中鶴勝祥、浅沼昭弘
シリーズディレクター:三塚雅人
制作:フジテレビ・読売広告社・東映アニメーション
(c)本郷あきよし・フジテレビ・東映アニメーション