国内外で相次ぐ新型コロナウイルスによる映画の公開延期 今後も広がる興行への影響を考える
さらに、今後長期的に公開延期作品は増える可能性がある。杉本氏は続ける。
「これからの問題として予想されるのが、アメリカ本国で新型コロナウイルスの感染拡大が進んでいるので、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』『クワイエット・プレイス PARTII』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のように、アメリカでの公開延期作品が今後も増えること。それに引っ張られて日本での公開も遅れてくるというケースが起きてきます。アメリカでは、現時点では興行成績全体への影響はそこまで出ていません。しかし、『2分の1の魔法』は、作品のポテンシャルなのか、新型コロナウイルスの影響なのかまだ断定できませんが、アメリカで通常通り公開した結果、ピクサー作品の歴代オープニング興行成績で下から3番目の成績となりました。非常事態宣言が発令されたニューヨークの先週末の興行成績が、前週比で13%ほど落ちているという話もあるので、こういった数字を見ながらハリウッドのメジャースタジオが、延期を決断する可能性は大いにあり得ます」
仮に日本で収束したとしても、世界各国の作品を日本で公開する以上、世界的な潮流に翻弄されることは避けられない。最後に杉本氏は締めくくる。
「日本映画製作者連盟が今年の2月発表した、2019年の映画業界全体の興行成績は2611.8億円でした。しかし、内訳を見てみると、昨年公開された1278本の映画のうち、上位65本で全体の80%にあたる2008億円を稼いでいるんです。このように映画の興行は、上位数%の作品で全体を稼ぐという構造になっているのですが、現在延期が決まっている16本の作品の中に、その上位数%に入る作品がいくつもあると思うんです。そういったポテンシャルの作品が軒並み倒れてしまうと、それだけで何百億円の損失になるか計り知れません。もともと2020年は昨年と比較して、映画興行的によくない年だろうという予測はありました。新型コロナウイルス感染症の影響も加わり、これまでに見たこともない下げ幅を記録する可能性があります」
■公開情報
『2分の1の魔法』
近日公開
監督:ダン・スキャンロン
キャスト:トム・ホランド、クリス・プラット
日本版声優:志尊淳、城田優
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
11月20日(金)全国公開
監督:キャリー・フクナガ
製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、スコット・バーンズ、キャリー・フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ
出演:ダニエル・クレイグ、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ジェフリー・ライト、アナ・デ・アルマス、ラッシャーナ・リンチ、ビリー・マグヌッセン、ラミ・マレック
配給:東宝東和
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