笠松将が語る、主演映画『花と雨』における覚悟 「退路を断った。逃げ道がなくなった」
「日常生活のウソをなくさないといけない」
ーー以前のインタビュー時に、「どんどんフラットになってきている」と言っていましたが、ここ最近の心境はどうですか?
笠松:さらにフラットになってきています。だからムカついたら本当にムカつきますし、楽しかったら本当に楽しいですし、眠かったら寝てますし……。少なからず、演技って“ウソ”をついているわけじゃないですか。作品を作っていく上で本当に必要なウソのために、日常生活のウソをなくさないといけないなと。例えば普段から姿勢が悪い人がいたとして、いきなり「はい、ちゃんとした姿勢をとってください」と言われても、ちゃんとした姿勢はとれない。でも、普段からちゃんとした姿勢でいれば、すぐにそれができる。同じように、普段からウソをつかないで正直でいれば、カメラの前だって正直にいられるだろうと思っててます。
ーー本作で主役をやり終えて、自身で何か変化は感じますか?
笠松:どの役でも楽しみ方を見つけられるようになりました。ネガティブな意味ではなく、現場をかき回してもいいわけですから(笑)。もちろん、セリフが入っていなくて現場を止めてしまうとか、そういう低いレベルではなく、もっと高いレベルで、そういうポジションならではのいろんなやり方で現場を面白くできると気づきました。主役は主役で、主役だからこそのやりやすさもありますが、同時にその難しさも感じました。一人でも多くの方に僕のことを知ってもらったら映画を観に来てくれると思ったから今回は(プロモーションも)頑張りました(笑)。例えば宣伝部の方が喜ぶくらいに僕が人気があって、みんなが僕の次の作品を早く観たいという状況にしたかったんですけど、やっぱりそこは全然できなくて。この作品を撮り終えて、「1年間で頑張ります」と約束したのですが、不甲斐ないです。だから、どうやったらこの映画に人が入ってくれるんだろうなってずっと考えています。僕がSNSのフォロワー60億人! みたいな感じになれたら良かったんですけど……。でも僕はSNSをやっていないから分からないだけで、もしかしたらフォロワーが60億人いるかもしれない(笑)。
ーーそれこそ東京国際映画祭での上映は、お客さんとの交流の場でもあったと思います。
笠松:東京国際映画祭では、お客さん一人ひとりの顔を見ていたんです。「下を見てる人いないかな」「不満に思っている人いないかな」と思って見ていたんですけど(笑)、みんな満足気な顔をしてくださっていて。質問してくださる方もいてすごく優しかったです。でもネットを見ると、否定の意見も勿論あります。だから本当に難しいなと。直接言ってくれたら、僕も説明できるじゃないですか? かといって映画の上映前に舞台挨拶で、「あそこはこうだから、こういう風に見てくださいね」なんて言うのも違うし。でも正直、評価はどうでもいいです。この作品に本当に自信があるから。もちろん話しかけてくれる方とは話したいです(笑)。
■公開情報
『花と雨』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中
出演:笠松将、大西礼芳、岡本智礼、中村織央、光根恭平、花沢将人、MAX、サンディー海、木村圭作、紗羅マリー、西原誠吾、飯田基祐、つみきみほ、松尾貴史、高岡蒼佑
監督:土屋貴史
原案:SEEDA、吉田理美
脚本:堀江貴大、土屋貴史
音楽プロデューサー:SEEDA、CALUMECS
製作:藤田晋・中祖眞一郎
制作プロダクション: P.I.C.S.
配給:ファントム・フィルム
(c)2019「花と雨」製作委員会
公式サイト:Phantom-film.com/hanatoame/