『カイジ』『るろうに剣心』 大作映画の人気シリーズ、ついに終幕の2020年
こと日本において、世の中が大きな動きを見せそうな2020年。この年に、『カイジ』シリーズ(2009〜)、そして『るろうに剣心』シリーズ(2012〜)が、どちらもついに幕を閉じることになる。両作とも人気マンガの実写化作品で、いわゆる“大作映画”に分類されるものだ。
『カイジ』といえば主演の藤原竜也にとって、『バトル・ロワイアル』シリーズ(2000-2003)、そして『デスノート』シリーズ(2006-2016)に並ぶ代表作の一つとして挙げられるものだろう。特にタイトル・ロールであるカイジ役は、そのキャラクター性と藤原の演技が見事な融合、化学反応を起こし、“藤原竜也=カイジ”と見る向きも多い。実際に筆者の周りにも、藤原のことを“カイジ”と呼んでいる者さえいるくらいだ。それほどまでに『カイジ』という映画、ひいてはカイジというキャラクターは強烈なインパクトを放ち、国民的キャラクターとまでなっているのである。これが足枷にならないのが、やはり藤原が平成の演劇界に登場した天才だといわれたゆえんでもある。映画では毎作品、熱量の高い役どころに配され、オーバーな演技アプローチを繰り返してはいるものの(これは周囲が彼に求めているものでもある)、だからといって、藤原を見て「またカイジだ!」となっていないのは周知の事実。ここから分かるのが、やはりカイジが藤原にとって最大のハマり役なのだということだ。
一方の『るろうに剣心』シリーズで主演を務めているのは佐藤健。彼が演じたのも『カイジ』の藤原と同じく、タイトル・ロールだ。アクションが売りの本作以前にも、佐藤は自身の身体能力の高さを披露してはいたが、どちらかといえば線が細い青年といった印象の方が強かった。だが本作で、その俊敏かつ豪快な“アクション俳優”としての一面を開花させた。といっても、本作はアクションばかりが見どころではない。派手なアクションが繰り広げられるに至るには、もちろん土台となるドラマが展開される。ここで佐藤は演じる役の複雑な内面をその言葉と所作に乗せることで、いち俳優として底しれぬポテンシャルを秘めていることを世に知らしめた。シリーズ開始からまだ7年しか経っていないが、いまでは佐藤が硬軟自在なトップ俳優の一人であることを疑う余地はないだろう。