なぜ会話劇ドラマに魅せられる? 『俺の話は長い』『G線上のあなたと私』『ブラック校則』をもとに考える

なぜ会話劇ドラマに魅せられる?

 秋ドラマが佳境に入っているが、視聴者から熱い支持を集めている3つのドラマがある。それが『俺の話は長い』(日本テレビ系)、『G線上のあなたと私』(TBS系)、『ブラック校則』(日本テレビ系)だ(『ブラック校則』は11月26日放送分で終了)。いずれも大ヒットとは言えないかもしれないが、視聴率がそれぞれ尻上がりに上昇しているということは、熱心なファンがついている証拠である。

 3作品をカテゴライズするならば、「ホームドラマ」、「恋愛ドラマ」、「学園ドラマ」とそれぞれまったく別のジャンルになるが、ひとつ大きな共通点がある。それは3作品とも「会話劇ドラマ」だということだ。ひらたく言えば、どれも大きな事件などは起こらず、登場人物たちの「おしゃべり」をもとにストーリーが進んでいく。

 ホームドラマの『俺の話は長い』は、30歳過ぎなのにニートで屁理屈ばかり言う満(生田斗真)と強気なキャリアウーマンの実姉・綾子(小池栄子)との丁々発止の会話が見どころ。40歳過ぎでニートの仲間入りした綾子の夫・光司(安田顕)、綾子の娘・春海(清原果耶)、満と綾子の母・房枝(原田美枝子)ら家族全員がいつも食卓を囲んで会話に参加している。

『俺の話は長い』(c)日本テレビ

 恋愛ドラマの『G線上のあなたと私』は、バイオリン教室に通う元OLで無職(後に転職)の也映子(波瑠)、専業主婦の幸恵(松下由樹)、大学生の理人(中川大志)がいつもおしゃべりに興じている。女性2人のテンポの良い会話がドラマの明るいムードをつくっているが、クールに見える理人も序盤から積極的に2人に絡んでいるのが意外で面白い。

 学園ドラマの『ブラック校則』は、学校の校則を変えようとしている主人公の男子高校生・創楽(佐藤勝利)と中弥(高橋海人)がいつも海岸でおしゃべりしていて、2人で時系列がシャッフルされたさまざまな出来事を振り返りながらストーリーが進んでいく。

 どの作品も登場人物たちのおしゃべりが魅力で、ドラマの推進力になっているのが特徴だ。当然ながら脚本家の腕が問われるところだが、『俺の話は長い』は『世界一難しい恋』(日本テレビ系)などの金子茂樹、『G線上のあなたと私』は『きのう何食べた?』(テレビ東京系)などの安達奈緒子、『ブラック校則』は同じく男子高校生2人の会話劇『セトウツミ』(秋田書店)の原作者・此元和津也がそれぞれの脚本を担当している。なるほど、おしゃべりが面白いわけだと納得してしまう顔ぶれだ。

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