ティモシー・シャラメ、なぜ日本でも人気が沸騰? 『君の名前で僕を呼んで』以降の活躍を振り返る

T・シャラメの2019年を振り返る

 それと同時に、作品を追うごとにティモシーの俳優としての進化のみならず、成長の過程を見守ることができるのも大きいのではないだろうか。日本では子役やかなり若い段階で脚光を浴び、そのまま人気を維持しながら一人前の俳優として成長していく例が多々ある一方で、海外では若くして注目を浴びるとその後多かれ少なかれスキャンダルが取り巻き、第一線から退くケースが目立つ。結果的に日本でブレイクする海外俳優の多くは、ある程度完成しきった状態ということも少なくない。クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』でマシュー・マコノヒー演じる主人公の息子役として注目を集めた時(しかも妹を演じていたのがマッケンジー・フォイというのも忘れてはならない)、18歳だったティモシーにはまだあどけなさが残る少年だったが、最新作の『キング』では激動の時代を生き抜く若き王を演じ、その感情の表出の仕方から立ち居振る舞いまですっかり貫禄がただよいはじめているのである。

Netflix映画『キング』、Netflixにて独占配信中

 それでも現在のティモシーはまだ23歳。ちょうど『タイタニック』が全米で公開されたときのディカプリオと同い年ということか。そう考えると、俳優としての完成度という点においてはディカプリオを上回るものがあると感じずにはいられない。しかも今後待機している作品はいずれも新たな代表作となるにふさわしいものばかり。グレタ・ガーウィグが『若草物語』を再映画化する『Little Women』に、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『Dune』、ウェス・アンダーソン監督の『The French Dispatch』、そして『君の名前で僕を呼んで』の続編まで予定されている。この先の数年間でアカデミー賞を受賞することはもちろん、興行的な成功作に恵まれることも充分に考えられる。そうなればティモシーは正真正銘のスター俳優へと上り詰めることになるだろう。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『マイ・ビューティフル・デイズ』
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開中
監督・脚本:ジュリア・ハート
製作:ジョーダン・ホロウィッツ
出演:ティモシー・シャラメ、リリー・レーブ、リリ・ラインハート
挿入歌:「金色の髪の少女」アメリカ
配給:ファインフィルムズ
2016/アメリカ/カラー/英語/86分/PG12/原題:Miss Stevens  
(c)2016Young Dramatists, LLC.All Rights Reserved.
公式サイト:www.finefilms.co.jp/days

■配信情報
Netflix映画『キング』
Netflixにて独占配信中
監督・脚本:デヴィッド・ミショッド
脚本:デヴィッド・ミショッド、ジョエル・エドガートン
出演:ティモシー・シャラメ、ロバート・パティンソン、ベン・メンデルソーン、リリー・ローズ・デップ
公式サイト:https://www.netflix.com/theking

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