『グランメゾン東京』は日曜劇場とキムタクドラマが融合!? “一歩下がった”木村拓哉の新境地
なにより注目したいのは、尾花がスーシェフ(副料理長)であるという点だ。
さまざまなドラマで長年、主役としてメインを張ってきた木村が、役の上とはいえ一歩下がることは珍しい。それでも抜群の存在感と安定感を発揮しているわけだが、彼の芝居をここまで見る限り、あえて自ら前に出ず、一歩下がって共演者たちの持ち味を“引き立てる”ことを意識しているようにも見えるのだ。
例えば、第4話では柿谷(大貫勇輔)の裏切りによって生じた「グランメゾン東京」のピンチにヘルプで厨房に入った祥平に、尾花は「身は殻から外すなよ」とぶっきらぼうに声をかけ、それ以上、絡むことは最後までなかった。だがそれによって祥平の腕を信頼していることが十分表現されていた。
また、第5話の倫子との朝食シーンでは向かって左に座ることで、彼女をサポートする尾花の気持ちを表したように見受けられたし、ナッツ混入事件の罪を被ろうとした京野に激昂することで、この店に京野が必要な人物であることを印象づけた。
これらは些細なことかもしれないが、今後、彼の俳優としての新たな可能性を示唆しているのではないだろうか。もしかすると俳優・木村拓哉にとってこの作品は大きなターニングポイントになるかもしれない。
■中村裕一
ライター。ドラマについて書いたり言ったりするのが得意といえば得意です。Twitter
:@Yuichitter
■放送情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、 沢村一樹
脚本:黒岩勉
プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/