舞台『刀剣乱舞』冬公演は“蒼さ”に期待? 蒼木陣のアクロバット、新キャストなどポイントをおさらい

『刀剣乱舞』冬公演の注目ポイントを解説

 今回のストーリーの舞台は1863年の土佐藩。土佐勤王党が恐怖政治を敷き“放棄された世界”となった地に、陸奥守吉行(蒼木陣)を筆頭に、和泉守兼定(田淵累生)、堀川国広(小西詠斗)、鶴丸国永(染谷俊之)、小烏丸(玉城裕規)が出陣することとなる。出陣先で肥前忠広(櫻井圭登)、南海太郎朝尊(三好大貴)と落ち合った彼らは、歴史改変を正すべくその中心人物の捜索を開始し、任務中に出会った坂本龍馬と共に行動を起こすことを決める。

 ミュージカル『テニスの王子様 3rdシーズン』の喜多一馬役などで活躍し、刀ステには前作『慈伝』から出演している蒼木陣が座長を務める本作は、シリーズ初出演となる櫻井、三好、田淵、小西がメインキャストとして参戦するフレッシュな布陣が特徴的だ。約3年ぶりに鶴丸国永を演じる染谷、すべての刀剣の父として異彩を放つ小烏丸役の玉城は過去作から続けての出演となり、そこに陸奥守吉行の主である坂本龍馬役で岡田達也、吉田東洋役で唐橋充らベテラン勢が絡んでくるのもポイントだ。ブレイクダンスやアクロバットを得意とする蒼木は「末満さんからは“めちゃくちゃ動かすぞ”と言われている」(舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち 蒼木陣 インタビュー)とのことで、その高い身体能力が今回の物語の中でどう活かされるのかも気になるところだ。

 前述のようにベースとなるストーリーや刀剣男士の設定はあるものの、演じるにあたってはそのディテールを演出家と役者で作り込まなければならない。各キャストにそれぞれ苦労があったようだが、たとえば『悲伝』で妖精のような小烏丸を演じた玉城は「『こういう動きするんだろうな』というイメージを実際にやろうとすると基本的につま先立ちになるし、殺陣の時は片足立ちをするようにしていた」(『Sparkle』Vol.38)と、体力的にも苦労したという役作りを懐古。そのほかのキャストたちも蒼木が高知、櫻井が京都と、それぞれが演じる刀剣たちが活躍した地へ赴くなど、演じるにあたり並々ならぬ熱意を注いできたという。

 そんなスタッフ・キャストの熱意の賜物でもあるのだが、これまで演劇には縁がなかったという原作ゲームのユーザーや、男性を含む歴史にあまり興味関心がなかった層をも同シリーズが巻き込んでいる理由は、末満の「僕の中では、刀ステは青春モノなんです」(『CUT』2018年7月号)という一言に集約されているのではないかと思う。

 刀剣男士たちの迷いや葛藤、同じ主を持つ者同士のライバル意識や仲間意識といった感情が人間臭さを感じさせ、不思議な共感を抱かせてしまう刀ステ。若手キャストが多い最新作は、現段階のシリーズ中もっとも瑞々しい“蒼さ”が堪能できる作品を予感させる。フレッシュな刀剣男士と幕末の志士たちによって紡がれる、新たなストーリーに期待したい。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

■公演情報
舞台『刀剣乱舞』2019年冬公演
原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本・演出:末満健一
日程:
【東京公演】2019年11月22日(金)~12月1日(日)TOKYO DOME CITY HALL
【兵庫公演】2019年12月6日(金)~12月15日(日)AiiA 2.5 Theater Kobe
【東京凱旋公演】2019年12月20日(金)~2020年1月12日(日)TBS赤坂ACTシアター
【福岡公演】2020年1月17日(金)~1月18日(土)福岡サンパレス ホテル&ホール
出演:蒼木陣、櫻井圭登、三好大貴、田淵累生、小西詠斗、染谷俊之ほか
主催:ニトロプラス/マーベラス/東宝/DMM GAMES
公式サイト:https://www.marv.jp/special/toukenranbu/
公式Twitter :@stage_touken
(c)舞台『刀剣乱舞』製作委員会(c)2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

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