スパイダーマンって結局どうなったの? 杉山すぴ豊が解説する、スパイダーマン今後の可能性

スパイダーマン今後の可能性を探る

 今年、アメコミ映画ファンをやきもきさせたニュースの一つが、スパイダーマンのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)離脱問題でした。結論から言うと、ソニー・ピクチャーズ(以下、ソニー)が映画化権を有するスパイダーマンはもう少しMCUに残留することになります。これについて多くのメディアがとりあげているので、この経緯についてはもう触れませんが、スパイダーマンがMCUに残留することでこの先どういう展開になるか予想してみたいと思います。

まず頭に入れておくべきことは、ソニーとディズニー側(MCUのオーナー)との合意では、

<1>『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に続くシリーズ第3弾を共同で製作。MCUの仕掛人でプロデューサー、マーベル・スタジオの社長ケビン・ファイギと、ソニーでずっと『スパイダーマン』映画を手がけているエイミー・パスカルが再びタッグを組んでプロデュース。トム・ホランドがピーター・パーカー/スパイダーマン役、ジョン・ワッツ監督も続投。2021年7月16日公開予定。本作は世界観はMCUですが、ビジネス的にはソニー映画。

<2>これとは別にあと一回、MCU映画にスパイダーマンは登場。要は『アベンジャーズ:エンドゲーム』等のようにヒーローの一人としてスパイダーマンが登場。これはビジネス的にはディズニー映画。

<3>そして注目すべきは両者(社)間でスパイダーマンは“be the only hero with the
superpower to cross cinematic universes”(ユニバースを横断する超能力を持つ、唯一のヒーロー)という合意がなされたということです。

 個人的には、この3つめがすごく気になるのですが、まず<1>と<2>から考えてみましょう。そもそもディズニーがMCUにスパイダーマンを入れたかった理由は、もちろん人気キャラだからなのですが、若者視点を持ち込みたかったという事情があるようです。アイアンマンやキャプテン・アメリカは大人の男です。ここに新米ヒーローをいれることによって若い世代の共感や若いヒーローをMCUに入れやすくなる。実際、スパイダーマンのアニメでは、スパイダーマンが中心となってヤング・ヒーローたちを率いるというシリーズがあります。

 従って<2>の路線では、スパイダーマンを中心とした若いヒーローたちが活躍する映画になるのではないかと思います。先に例を出したアニメではノヴァ(NOVA)という若僧宇宙ヒーローとスパイダーマンのコンビが楽しく描かれています。ノヴァはマーベル・コミックの中でも人気ヒーローでファンがMCUに登場してほしいと思っているキャラの一人。ノヴァをMCUに導入するきっかけとしてスパイダーマンは有効なのかもしれません。なお『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には一瞬NOVAという単語が出てくるシーンがあり、ノヴァ登場を予告しているのかもしれません。

 またMCUは原作コミックで有名な、SECRET WARSというヒーロー軍団VSヴィラン軍団が激突するエピソードの映画化を企画中との噂もあり、そうなればここにスパイダーマンは欠かせません。

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