YOSHI×大森立嗣監督『タロウのバカ』対談 「先輩風は一番嫌い」「問われているのは俺たち」

YOSHI×大森立嗣監督『タロウのバカ』対談

 『日日是好日』『セトウツミ』『さよなら渓谷』などの大森立嗣監督のオリジナル脚本による最新作『タロウのバカ』が公開中だ。

 戸籍すらなく、一度も学校に通ったことがない主人公の少年タロウ(YOSHI)と高校生の仲間であるエージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)。奔放な日々に自由を感じていた3人が、一丁の拳銃を手に入れたことをきっかけに、それまで目を背けていた過酷な現実に向き合うこととなる。

 本作で主演に抜擢され、劇的な役者デビューとなったYOSHIは、13歳にしてルイ・ヴィトンのディレクター・ヴァージル・アブローに独自のファッションセンスを賞賛され、ファッション業界で一躍有名に。その後も有名ブランドのモデルやショーへ出演し、活躍の幅を広げてきた。今回、YOSHIと大森監督にインタビューを行い、YOSHIを主演に抜擢した理由や、菅田将暉と仲野太賀との関係性について話を聞いた。

YOSHI「たっちゃんにはすごく興味が湧きました」

(左から)YOSHI、大森立嗣監督

ーーYOSHIさんは本作で役者デビューとなりますが、大森監督と初めて会った時の印象は?

YOSHI:1回目のオーディションの時に会ったんですけど、僕、誰が監督か分からなくて「どこに監督っているんですか」って聞いたら「俺だよ」と。「あぁ、お前かーい」って言って(笑)。会った時に、「話したいな」というのはすごく感じました。僕、感覚的に話したいか、話したくないかどちらかなんです。たっちゃんにはすごく興味が湧きましたね。

ーー監督と話していて、惹かれる部分はどこですか。

YOSHI:“もっとこうしてほしい”、“こうなってほしい”というお互いのビジョンが合致すると、「あぁ、わかってんな」となります。

大森立嗣(以下、大森):そんな難しい話したっけ?

YOSHI:いや、してない。あなた、あんまり難しい話しないもんね。でも、それがいいんです。50、60歳にもなってさ、枕投げ本気でしてたらかっこよくない?

大森:ハハハ(笑)。

YOSHI:世の中の人たちはそういうエネルギーを忘れちゃいけないんですよ。

ーー監督がYOSHIさんのことをどういう風に探されてたんですか?

大森:Googleで「14歳 有名人」で検索して、下の方に「WWD」(ファッション業界誌のウェブ版)のYOSHIの写真があって。この子いい顔してるなと思って、プロデューサーに相談して繋いでもらって、会わせてもらいました。

YOSHI:最初は俺のお母さんに台本が行って、「こんな過激なのどうなんだ」となったらしいですけど、そのあと俺に渡ってきて。いい機会だと思って会いに行きましたね。

大森:事務所に『光』で使っていたフリーダ・カーロの絵画が飾ってあるんですけど、YOSHIが扉開けて見た瞬間、「やっベー、これカッケー!」って言ったんですよ。そこで、こいつカッケーなと思って。

YOSHI:たっちゃんと俺はお互いのリスペクトがちゃんと取れてるのがいいんですよ。あれ、いつくれんの? あの絵は絶対貰う。

ーー演技未経験で探していたとか、何か最初の条件はあったんですか?

大森:15、14歳くらいを探していましたね。経験と言っても、そんなバリバリな子役も嫌だったから。でもそうすると、あんまりいませんよね。だから、自然と未経験を探すことになっていったと思うし、そういう中で、偶然というか必然というか、YOSHIを見つけました。

YOSHI:出会いがすごく運命的だったんです。

ーー台本が渡って家族に反対された時はどう答えたんですか。

YOSHI:結局家族とか、正直関係ないです。その時は自分がマネーシャーでもあり、自分が第一者でもあったので、セルフプロデュースだったんですよ。その時はずっと、ファッション系の企画書を作って会社にプレゼンをしに行っていました。

ーーなかなか16歳でできることじゃないですよね。

YOSHI:本当ですか? ありがとうございます。13歳でファッション業界に入った時から、本当の自分と第三者の目で見た自分のことを分かってはいたのかなと思っていて。けど、それを自分の言葉で具現化できたのは映画の撮影が終わってからなんです。だから、表の自分はバカ、第三者の目で見た自分はすごく真面目というのが僕のスタイルだと思っています。

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