『あなたの番です』真犯人・西野七瀬の本性が明らかに ラストの「無人の車椅子」が意味すること

『あなたの番です』ラストシーンの真意とは?

 ところで、田宮が波止の名前を引いていたということや、西村(和田聡宏)が木下(山田真歩)に明かす、床島(竹中直人)の死の真相や引いた紙と書いた紙の答えなど、これまで隠されていた謎が一通り明らかになっていく中で最後の最後で出てきた新事実。それは赤池幸子(大方斐紗子)が沙和の祖母で、沙和の危険性を知りながら黙認していたという、ある意味では“真の黒幕”といえる存在だ。ラストで登場した無人の車椅子と、屋上で縛られて殺されようとしている幸子の姿に、それが神谷(浅香航大)の復讐を誓った水城(皆川猿時)の仕業なのか、ホテルの部屋を出てからの姿が描かれない沙和の仕業なのか、それとも幸子にずっと付き添っていた江藤(小池亮介)の仕業なのかと、放送が終わってもなお考察が盛り上がっているのは興味深い(そういえば、ゲームで赤池美里が書いた「赤池幸子」という紙を引いたのは、浮田だった。名前を書かれていた人物は、このラストをもって、石崎洋子と吉村以外の全員が命を落としたことになる)。

 実に40分近くの時間をかけて描かれた、この半年間を総括するような“解答編”の後に待ち受けていたエピローグでは、1人でチャペルに立つ翔太の前に現れる菜奈の幻影との対面と、二階堂との正式な和解など、キウンクエ蔵前の住人たちのその後の物語が描かれていった。娘の事件の真相を知りマンションを去っていく南(田中哲司)や、新たな生活を始めようとする者たちの一方で、刑務所の中で過ごす罪を犯した住人たち。オーラスこそなかなかの意地の悪さを見せられたとはいえ、変わらず鍋をつつきあう翔太と二階堂の姿にはどことない安堵を与えられると同時に、この濃密な半年間が終わってしまうことの名残惜しさを本格的に感じずにはいられない。 

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。

■放送情報
日曜ドラマ『あなたの番です-反撃編-』(日本テレビ系)
出演:原田知世、田中圭、西野七瀬、浅香航大、奈緒、山田真歩、三倉佳奈、大友花恋、金澤美穂、中尾暢樹、小池亮介、井阪郁巳、袴田吉彦、片桐仁、真飛聖、和田聰宏、野間口徹、林泰文、片岡礼子、皆川猿時、徳井優、田中要次、長野里美、阪田マサノブ、大方斐紗子、峯村リエ 、竹中直人、安藤政信、木村多江、生瀬勝久、横浜流星、田中哲司
企画・原案:秋元康
脚本:福原充則
演出:佐久間紀佳ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則
制作協力 :トータルメディアコミュニケーション
製作著作 :日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/anaban/

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