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『あなたの番です』黒島沙和は西野七瀬だからこそできた役? 今後の女優活動の大きな糧に

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 約半年、2クールに渡る放送もいよいよ終盤に差し掛かり、ついに物語の核心へと迫ろうとしている日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です-反撃編-』。先週放送された第18話のラスト、二階堂(横浜流星)がマンション内で起きた交換殺人ゲームと、ゲームから外れて繰り返される不可解な殺人事件、そして5年前に高知県で起きた少女殺害事件などの膨大データをもとにAIで分析をかけた結果、事件の黒幕である確率が89%という最重要容疑者の存在が浮かび上がる。それが202号室の住人で、二階堂の恋人でもある黒島沙和だ。

 そんな黒島沙和を演じている西野七瀬といえば、言わずもがな国民的アイドルグループ「乃木坂46」の中心メンバーとして活躍し、2018年いっぱいをもってその活動を終了。今年に入ってからは女優としての活動を本格化させた。先日公開された乃木坂46の活動を追ったドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』では、彼女の卒業発表によって揺れるメンバーたちの様子が赤裸々に映し出され、グループ内での彼女の存在の大きさを改めて感じさせられることとなった。

 もっぱらいつの時代も“アイドル出身女優”となれば、ルックス先行で演技力が伴わないという先入観で見られることがしばしばあるが、乃木坂46を卒業したメンバーで括れば今泉力哉監督の作品で印象的な演技を見せる深川麻衣や、『潤一』での鮮烈な演技が記憶に新しい伊藤万理華など、見事に転身を遂げた先例がある。そういった中で、本ドラマにおける西野の演技は、彼女の女優としての技量を測る上でひとつの試金石になっていたわけだ。

 ドラマ序盤での西野演じる黒島沙和は、常に体のどこかに傷を作り影を帯びたミステリアスな女子大生というキャラクターであった。しかしその後、突然傷がなくなり雰囲気も明るく変わるとともに、田中圭と原田知世が演じる主人公たちの謎解きをサポートする役割を果たし、数学をこよなく愛する“リケジョ”キャラも確立していく。そして2クール目に入ってからはさらにそのポジションを押し上げ、二階堂との恋模様が緊張感に満ちた物語の緩衝材としての役割を果たしていく。さながら前半での主人公夫婦の不器用さをなぞるかのような二人の描写は、沙和が駅のホームから転落して意識を失う第15話あたりから感動要素のひとつとして機能するのだが、第16話で急転する。

 沙和を高校時代からつきまとっていたストーカー男・内山(大内田悠平)の存在が明るみに出て、彼が謎に包まれていた一連の事件の犯行を告白する動画を残して不審な死を迎えるのだ。数多くの疑問点が浮かび上がる告白動画と同時に、マンションの新住人・南(田中哲司)の娘が殺された5年前の事件によって、両方に共通点を持つ沙和へと疑念の目が向けられてしまうことに。もっとも、これまでもドラマ放送後に白熱しているネット上の考察では、常に黒幕の最有力としてあげられ続けていた沙和。9月1日に放送される第19話で、この半年間活発に交わされてきた“黒島沙和黒幕説”のアンサーがようやく出されるのかもしれない。

 しかしながら、脚本上で沙和に疑念が向けられることがほとんどなかったとはいえ、“黒幕説”や“双子説”など様々な言説が飛び交うだけ飛び交って、その答えが明示されるまで核心を突くものが何もないというのは、ミステリー作品として大成功ではなかろうか。それと同時に、黒幕を演じるためには途中で黒幕であることを気付かれてはいけないし、ミスリードするための役柄を演じるのであってもそれを気付かれてはいけない。そうした非常に微妙なラインを攻める役をここまで演じきったという点においては、西野の演技力を高く評価してもいいのではないだろうか。

      

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