『これは経費で落ちません!』重岡大毅との出会いで変化が? 多部未華子が垣間見せた“弱さ”
多部未華子が主演を務めるオフィスドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)。青木祐子氏の同名小説シリーズが原作で、領収書や請求書を通じて見えてくる思わぬ人間模様がコミカルに描かれている。
第4話は「女の明日とコーヒー戦争の巻」。総務部で勃発したコーヒーを巡る争い。コーヒーを従業員みんなに入れて回ることをコミュニケーション上必要不可欠とする横山窓花(伊藤麻実子)に対し、給湯室にコーヒーサーバーを導入しようという平松由香利(平岩紙)。たかがコーヒーと言うなかれ、横山さん曰く「女の会社員人生を懸けた主導権争いだ」と息巻く。
このドラマの秀逸なところは、毎回問題に上るのが経費の使用用途が適切か否かという点だけでなく、それを引き起こしている背景や要因をも議題としてきちんと指摘しているところにある。
それは第2話では雇用形態の違いによる会社での居場所の違い・肩身の狭さであったり、第1話のクライアントの接待と私的な付き合いの線引きであったり。今回は女性事務職に求められる役割の変遷について示唆されていた。お茶汲みをはじめ、かつては女性事務社員の仕事だと信じて疑われてこなかった業務を筆頭に、過渡期にある彼女らの役割について、実際の日系企業に残存していそうな旧態依然とした社内の雰囲気とともによく描かれていた。
由香利が森若さん(多部未華子)を誘って参加する「女性の生き方セミナー」、別名「意識高い系セミナー」。由香利が稟議書を出していたコーヒーサーバーのリース先社長でもある講師の三並愛美(須藤理沙)は、女性の将来に対する漠然とした不安を巧みに突いた話術で、聴衆を魅了していく。将来の予期できない不測事態として、親の介護、終身雇用制度の崩壊など耳が痛いことを列挙していく。これには母親が健康診断で再検査になり珍しく弱り気味だった森若さんも他人事には思えず、無視できない様子で、少し感化されている様子。この辺りにもうまく世相が反映されている。
しかし三並より会員費を提示され、すかさず「内訳を教えていただけますか」と斬り込めるあたりはやはり森若さん! あっぱれ、流石の一言である。
それでも「輝かしい未来への種を蒔く投資」だという言葉にどこか引っかかっていた森若さんは、山田太陽(重岡大毅)にふと意見を求めてみる。