会社経営×スポーツの必勝パターンに限らない? 『ノーサイド・ゲーム』から考える日曜劇場の変化

『ノーサイド・ゲーム』から考える日曜劇場の変化

会社経営×スポーツの必勝パターン


 最後に、会社経営とスポーツという組み合わせは池井戸作品の得意とする必勝パターンの一つだ。今までにも、社会人野球を題材にした『ルーズヴェルト・ゲーム』や、老舗の足袋製造工場がランニングシューズを開発する『陸王』などが日曜劇場でドラマ化されてきた。今回の『ノーサイド・ゲーム』は主人公がラグビーチームのGMということもあってか、より両者の距離が近く、スポーツと会社を横断することで、男たちの熱い世界を描いているのだが、おそらくスポーツのフェアプレイ精神は、日本人の愛社精神と通じるところがあるのだろう。

 これは逆も言えて、近年、マネジメントという側面からスポーツ選手のお仕事を見直そうという動きが起こっている。『グラゼニ』や『GIANT KILLING』といった週刊モーニング(講談社)に連載されている大人向けのスポーツ漫画がそういう切り口なのだが、『ノーサイド・ゲーム』にも同じテイストを感じる。「ただ、試合に勝てばいい」だけでは済まされない物語となっているからこそ、高い支持を受けているのだ。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』
TBS系にて、 毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:大泉洋、松たか子、高橋光臣、笹本玲奈、天野義久、廣瀬俊朗、齊藤祐也、林家たま平、コージ(ブリリアン)、佳久創、村田琳、笠原ゴーフォワード、大谷亮平、中村芝翫、上川隆也
原作:池井戸潤『ノーサイド』
脚本:丑尾健太郎ほか
演出:福澤克雄ほか
プロデューサー:伊與田英徳ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/noside_game_tbs/

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