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会社経営×スポーツの必勝パターンに限らない? 『ノーサイド・ゲーム』から考える日曜劇場の変化

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 TBS日曜劇場の『ノーサイド・ゲーム』を毎週楽しみにしている。

 原作小説(ダイヤモンド社)の作者は池井戸潤。チーフ演出は福澤克雄、プロデューサーは伊與田英徳。大ヒットした『半沢直樹』以降、日曜劇場の池井戸原作のドラマを作り続けてきたチームの最新作だ。

 舞台は大手自動車メーカー「トキワ自動車」のラグビー部・アストロズ。出世競争で敗北し、府中工場の総務部長に赴任した君嶋隼人(大泉洋)は、アストロズのGM(ゼネラルマネージャー)を兼務することになる。

 左遷された自分の境遇をアストロズの苦境に投影した君嶋はアストロズをプラチナリーグで優勝させることで本社に復帰しようと奮起。経営戦略室で鍛えた分析力を武器にしてアストロズの育成に切り込んでいく。

 映像としての見せ場はドローンの映像を駆使した上空からの映像と、スローモーションを多用した、屈強な選手たちが激しくぶつかり合う試合場面。大学時代は有名なラグビー選手だった福澤がチーフ演出を務めていることもあってか、迫力あるものに仕上がっている。

物語の多層化

 しかし、本作の本当の面白さは、むしろ試合の外側にあると言える。物語は多層化しており、様々な物語が同時展開されている。

 君嶋を認めようとしないアストロズの選手たちとの衝突。君嶋を左遷した天敵の常務・滝川桂一郎(上川隆也)との経営戦略や、ラグビー部の年間予算をめぐる激しい攻防。プラチナリーグで利益を出すための対策をまったく練ろうとしない保守的な日本蹴球協会に対し、地元密着のチームを育成することで利益を出そうとする興業面での戦い。

 また、ドラマならではの味付けとして小説版ではまったく描かれてなかった君嶋の家庭の描写も見逃せない。君嶋は二児の父親で、松たか子が妻の真希を演じているのだが、この真希の性格がおかしい。恐妻でいつも辛辣なのだが、どこか愛嬌があり、悩んでいる君嶋の背中を押してくれる。ドラマ全体に漂うスポーツや会社、つまり日曜劇場が体現している男らしさを第一とする世界観を全否定してくるので、劇中では大きな違和感となっているのだが、怪演としか言いようのない松の芝居もあって目が離せない。

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