菊地成孔の『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』評: <第二経済>としての<キャラクターの交換>を前に我々ができることは、<損得>だけである

菊地成孔の『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』評: <第二経済>としての<キャラクターの交換>を前に我々ができることは、<損得>だけである

 我々はキャラクターの交換という、第二経済活動と、実際に労働して得た可処分所得を第二経済につぎ込んでは、第一経済を動かしている。筆者は、『エンドゲーム』で少々の損失を出し、『ファーフロムホーム』で莫大な利益を上げた。『ファーフロムホーム』は劇場にもう一度観に行くし、スパイダーアイコンのクリアファイルとパーカーも買おうと思っている。明るく楽しい株に投資するのが好きだからであろう。そこに批評をしている時間的、思考的余裕はない。『エンドゲーム』はもう観ないし、グッズもいらない。両作に対する評価はそれ以上でもそれ以下でもない。

 これは諦念ではない。事の全貌を、その莫大な限界性を説明しただけだ。そのうち、あるいはもうすでに、「自分自身」というキャラクターさえも、トレーディングに成功したり失敗したりする事になるだろう。「セルフトレーディング」なんて言葉は、もうありそうだ。

 前衛映画ですら、第二経済には飲み込まれている。ひょっとすると、第一経済への飲み込まれ方よりもドープかもしれない。こうして我々全員が行ない続けている第二経済行為は、あと何百年続くのだろうか? そしてもし、その経済行為に対する批判が理論的に出た場合、それはどんな物になるのだろうか? 第二マルクスとも言えるその存在は、必ず革命を志向し、第二革マルが蜂起するであろう。MCU作品は、没入させ、損得を生じさせ、そして、こうした事を改めて強く考えさせるのである。フェイズ3はこうして終わった(スパイダーマンがフェイズ4の第1作でないことは、そこそこ重要である)。

(文=菊地成孔)

■リリース情報
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
9月4日(水)発売
8月7日(水)先行デジタル配信開始
『アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX』:4,200円+税
『アベンジャーズ/エンドゲーム 4K UHD MovieNEX』:8,000円+税
『アベンジャーズ/エンドゲーム 4K UHD MovieNEXプレミアムBOX(数量限定)』:10,000円+税
『アベンジャーズ/エンドゲーム&インフィニティ・ウォー MovieNEXセット(数量限定)』:8,400円+税
『アベンジャーズ:4ムービー・アッセンブル(数量限定)』:13,200円+税
(c)2019 MARVEL

■公開情報
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
全国公開中
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ&エリック・ソマーズ
マーベル・コミック・ブック原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、J・B・スムーヴ、ジェイコブ・バタロン、マーティン・スター、マリサ・トメイ、ジェイク・ギレンホール
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.spiderman-movie.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/spidermanfilmjp
公式Facebook:https://www.facebook.com/SpiderManJapan/

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