『凪のお暇』呪いに囚われているのは黒木華だけじゃない! 高橋一生が抱える“闇”の正体
新しく皮切りとなった金曜ドラマ『凪のお暇』(TBS系)が初回放送後に既に話題をさらっている。
黒木華扮する主人公・大島凪が先週放送の第1話内で視覚的に劇的変化を遂げていたが、髪型が変わるだけで人というものはこうも違う印象になるのかという、にわかには信じ難い衝撃映像でもあった。
凪はただただ“嫌われたくない”“波風を立てたくない”という一心で、あるのかないのかもわからない「空気」をひたすら読み、周囲の顔色ばかり伺いながらひっそりと暮らすOLだ。
その様はまるで、昔からの酷い天然パーマをひた隠しにするために、毎月ストレートパーマをあて、毎朝1時間かけてコテで髪を真っすぐに伸ばす健気な彼女の姿に重なる。
凪がストレートヘアーにするのは特段そこにこだわりや自信があるのではない。自身の粗をリセットする、隠すことが主たる目的で、その行為は彼女にとってプラスを生み出す訳ではなく、ただ秩序を乱さぬように、悪目立ちせぬように、“人並み”になれるようにマイナスをスタート地点に戻す毎日の儀式であるかのようだ。
凪が空気を読むのも、その先に「自分の願望を通すため」「皆から好かれるため」など何か目的や彼女自身にとってのメリットがあるのではない。ただただひたすらに現状維持を願ってマイナスになることを恐れるがあまり身に付いた悲しき習性なのだ。
高度に交わされる女性同僚同士のマウンティング、コミュニティ内で常に求められる自身の“正しい立ち位置”の把握、少しでもジャッジを誤るとたちどころになくなる自分の居場所の危うさ、関係性の脆さ、SNSとの適度な距離感など……。現代社会で生きていくには、それこそ空気を吸って吐くのと同様に、常に空気、風向きをキャッチし続ける必要性に駆られているような感覚に襲われてしまうのは、程度の差こそあれ誰しもに経験のあることではないだろうか。
涙ぐましい努力の賜物である凪のストレートヘアーを「俺は凪の真っすぐで綺麗な髪の毛が好き」と褒めてくれたのも彼氏である我聞慎二(高橋一生)なら、凪にその努力を放棄させたのもまた彼の心ない一言だった。