宮沢氷魚、清原翔、東出昌大……メンノンモデルは、“魅せること”に長けた演技者の宝庫

宮沢氷魚ら2019年に活躍するメンノン俳優

日本映画界を牽引する東出昌大、超期待の宮沢氷魚

東出昌大 (c)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会

 いまや日本映画界を牽引する俳優の一人である東出昌大もまた、かつてはメンノンモデルであった。190センチ弱もある長身は、俳優をやるうえで、場合によっては障壁ともなりかねない。日本の成人男性の平均身長より20センチ近くも大きいのは、ある種、劇中の人物が持つリアリティを欠いてしまうということもあるだろう。しかし彼は、『予兆 散歩する侵略者 劇場版』(2017)をはじめ、特異な役どころを次々と自分のモノにしてきた。演じるのがごく普通に見える人物であっても、冷静に見つめてみれば、やはりどれも一筋縄ではいかないものばかりだ。“東出と仕事がしたい”という声は、方々から絶えることはない。

 そして、筆者が個人的に大きな期待をかけているのが宮沢氷魚だ。まだ俳優デビューから2年と経っていないのにもかかわらず、新・水曜ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)での主人公の相手役への抜擢など、短期間でここまで駆け上がってきた。そんな彼に期待をかけてしまうのは、むろん、多くの方がそうだろう。昨年は、現代演劇の最前線に立つ藤田貴大演出の『BOAT』で初舞台にして初主演し、続く『豊饒の海』では三島由紀夫の世界に挑戦。まったく毛色の異なる作品で、技を磨いた印象だ。この初夏に上演された『CITY』を観て、その思いはますます強くなっている。映画への出演も楽しみだが、彼の舞台に立つ姿は追っていきたいものである。

メンノン先輩俳優と、目が離せない若手たち

鈴木仁『TWO WEEKS』(c)カンテレ

 彼らの先輩に目を向けてみよう。メンノンの元・専属モデルで、ここ最近の活動が活発だったのが田辺誠一と谷原章介だ。映画にドラマにと、膨大な出演作数を誇り、二人はいまやベテラン俳優の域にある。田辺は若手俳優が多く集った『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(2019/日本テレビ系)の“問題アリ”な教師役で視聴者をざわつかせ、谷原は昨年の朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)の心穏やかな父親像で日本中を温かく包んだ。両者とも、かつては先に述べた“メンノン俳優”たちと同様に、気鋭の若手俳優として登場してきた。いまでは経験値で作品を支え、底上げする役割を担っている。

 パリコレモデルとしても第一線を歩んできた柳俊太郎は、間もなく公開される『東京喰種 トーキョーグール【S】』に出演。佇まいで物語ることができる稀有な俳優である。さらに、徐々に映画・ドラマに顔を見せつつある中田圭祐や、『4月の君、スピカ。』(2019)で準主役級を担った鈴木仁もまた、昨日から放送が始まっている7月期『TWO WEEKS』(カンテレ・フジテレビ系)に出演しており、目が離せない存在だろう。

 演技者とは身体を扱う職業だが、モデル出身者である彼らは、自身の身体への意識の向け方が、また他の俳優たちとは異なるのだろう。もちろん、発声や感情のコントロールといった、演技者としての訓練は必要なのだろうが、“魅せること”に長けていることは間違いなく大きな武器である。それは必ずしも自分を良く見せるというものだけでなく、“どのように見せるか”という意識のことであり、いわば客観性のことである。彼らは演技の世界に飛び込むよりも前から、自分がどのように見えているかを知る機会を多く得てきたはずなのだ。「MEN’S NON-NO」は、“魅せること”に長けている演技者の宝庫である。

※柳俊太郎の「柳」は旧字体が正式表記

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■番組情報
『偽装不倫』
日本テレビ系にて毎週(水)22時〜放送
原作:東村アキコ
脚本:衛藤凛 
演出:鈴木勇馬、南雲聖一 
出演:杏、宮沢氷魚、瀬戸利樹、MEGUMI、谷原章介、仲間由紀恵ほか
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/gisouhurin/

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