黒島結菜が、また走るーー『アシガール』から『いだてん』で見せた颯爽と駆け抜ける姿

黒島結菜、『いだてん』でまた走る

 黒島といえば、同じくクドカン脚本の『ごめんね青春!』(TBS系)では、生徒会長であり、論理的で成績優秀、インターハイ出場歴もある「駅伝の第一走者」を凛々しく演じていた。最初はバカにしていた担任教師・平助(錦戸亮)に恋をし、告白するが、転校することを言い出せずにいる姿は、普段が凛々しい性格だけに余計にいじらしく思えた。

 また、彼女の代表作の一つ『アシガール』(NHK総合)では、ひょんなことから戦国時代にタイムスリップ。若君(伊藤健太郎)に一目惚れしてしまい、身分を偽って「唯之助」として足軽になり、若君を守ろうと奮闘する女子高生・唯をイキイキと魅力的に演じていた。『アシガール』では伊藤が演じる若君のかっこよさが女性たちを夢中にさせたが、大前提として「同性が誰でも好きにならずにいられない」唯之助の可愛さこそが作品を大きく牽引していたといって良いだろう。

 『いだてん』でも『ごめんね青春!』でも『アシガール』でも、少年のような華奢な身体で、強い思いを胸に秘め、懸命に生きる姿は、どれも女性たちの胸を熱くする。また、ドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系)でもやっぱり軽やかに走りまくり、時間軸を飛び越え、ワクワクさせてくれた。

 ご本人の身軽さ、身体能力の高さも大いに武器となって、様々な作品で走ってきた黒島。彼女が黒目がちな目でまっすぐ前を見て、華奢な手足で軽やかに駆け抜ける姿を見るだけで、私たち視聴者はまるで条件反射のように勇気づけられたり、ドキドキしたり、応援したりしたくなってしまう。それだけの力が黒島にはある。

 ところで、『いだてん』の第22回は、富江の父の激怒をきっかけに、四三が女学校を解雇されることになり、それを知った富江を中心とした女学生たちは立ち上がり、教室に立てこもるという展開で終了した。大人たちに反旗を翻した彼女らはどうなるのか。凛々しく可憐な富江たち女学生の戦いの行方は、間違いなくこの物語のクライマックスの一つになるだろう。

■田幸和歌子
出版社、広告制作会社を経てフリーランスのライターに。主な著書に『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)などがある。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

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