綾瀬はるか、『いだてん』で圧倒的な華に NHK×宮藤官九郎は“不思議”系女優を輝かせる?
宮藤官九郎のオリジナル脚本のNHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』が視聴率では苦戦を強いられている。
初回の猛スピードで駆け抜けた展開の速さや、中村勘九郎演じる「オリンピックに初参加した男」金栗四三役の知名度の低さなどがその理由として挙げられているが、その一方で、四三の幼なじみで、後に妻となる春野スヤを演じる綾瀬はるかには絶賛の声が多い。
いつも前向きで、ハイカラで、自転車で爆走しながら大声で叫んだり歌ったりする明るさ・元気さの一方で、自分自身のことは語らず、相手の話を聞こうとする繊細な優しさも持ち合わせているスヤ。声が聴こえてくるだけで、思わずその姿を画面上に探し、画面の隅に姿が見えてくるだけで、目で追ってしまう圧倒的な華がある。
ところで、綾瀬×NHKといえば、大河ドラマ初出演で初主演を果たした『八重の桜』をまず思い出す人が多いだろう。「幕末のジャンヌダルク」と呼ばれる新島八重を演じたが、前半はヒロインが出張らず、歴史をじっくり丁寧に描いていたにもかかわらず、視聴率の苦戦ぶりのためか、後半になってテイストが急変。凛々しく美しい綾瀬を堪能できた一方で、加齢は一切感じさせず、前半の世界観を失い、学校設立の別の物語になってしまっていた。
また、三年がかりで放送された“ファンタジー大河ファンタジー”『精霊の守り人』では、バルサ役として顔を黒くし、少年のような凛々しい雰囲気でキレの良いアクションを見せたが、ファンタジーの世界観や設定が頭に入ってきにくいこと、バルサと綾瀬のイメージが合わないことなどから、やはり苦戦を強いられてしまった。
これらの作品から、実はこれまで綾瀬とNHKとの相性は、あまり良くないんじゃないかと思っていた。そんなイメージを見事に覆したのが、綾瀬はるかの本来の魅力を存分に生かした『いだてん』の脚本・演出である。