【ネタバレあり】『アベンジャーズ/エンドゲーム』MCU牽引してきた二大巨頭の“ヒーロー”としての歩み
“正義の物語”からの解放
アベンジャーズのヒーローたちも多くが消滅してしまったが、その中でも初期アベンジャーズの6人は誰一人欠けることなく残った。結局のところ彼らが何とかするしかないのだ。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でヒーローを引退していたホークアイも家族を失い否応なく戦いに戻ってくる。
我々は『アベンジャーズ』一作目で彼らが力を合わせた時の圧倒的なカタルシスを知っているので、今回のような絶望的な状況であっても遂に再びこの6人が揃う喜びを味わえる。その期待感は裏切られず、彼らはそれぞれに最大級の働きを見せてくれる。
公言されている通り初期アベンジャーズのメンバーの物語は今回で終わる。『エンドゲーム』では悲しい別れも待っていた。だがしかし、誰一人ヒーローとして消化不良な終わりを迎える人物はいない。
そして正義のために長年苦悩してきたアイアンマンとキャプテン・アメリカもそれぞれ正反対の形でその物語から解放される。ヒーローになっても独善的な性格を捨てられずにいたトニーは最後の最後に真の成長を遂げ、最初から高潔なヒーローの心を持っていたスティーブは大義のために押し殺していた自分の人生を取り戻す。
初期アベンジャーズ、特に主軸2人の物語はこれ以上ないくらい綺麗な終わりを迎えた。しかしこれからもMCUは続いていく。アベンジャーズの魂は誰が引き継いでいくのだろうか。
実はMCUフェーズ3の最終作は『アベンジャーズ/エンドゲーム』ではなく次作の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。既に「『アベンジャーズ/エンドゲーム』未見の方は絶対に見ちゃダメ」な予告も公開されているが、これからのアベンジャーズの中心を担っていくのは『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』からMCUに合流し、アイアンマンの弟子的な存在として頑張っていたスパイダーマンなのかもしれない(ちなみにキャプテン・アメリカの後継者が誰になりそうかも『エンドゲーム』のラストで描かれる)。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は単にスパイダーマンの映画ではなく、今後のMCUの方向性を示す重要な一作になりそうだ。普通だったら『エンドゲーム』のお見事な完結ぶりからしても1年くらいはシリーズを休みそうなものだが、そこで歩みを止めないのがMCU。ヒーローはいつだって必要だし、彼らの物語はこれからも続いていくのだ。
■シライシ
会社員との兼業ライター。1991年生まれ。CinemarcheやシネマズPLUSで執筆中。評判良ければ何でも見る派です。
■公開情報
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
全国公開中
監督:アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ロバート・ダウニー・Jr.、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ポール・ラッド、ブリー・ラーソン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2019
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html