『バースデー・ワンダーランド』原恵一監督が明かす、松岡茉優らキャスティングへのこだわり

原恵一監督が明かす、キャスティングへのこだわり

 4月26日より原恵一監督最新作『バースデー・ワンダーランド』が公開されている。

 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『河童のクゥと夏休み』などで世界35以上の映画賞に輝いた原監督の最新作は、誕生日の前日に起こる、カラフルでワクワクする冒険を描く。キャラクター/ビジュアルは、原監督自ら抜擢したロシア出身の新進気鋭の若手アーティスト、イリヤ・クブシノブが担当、主人公アカネの声優には『万引き家族』の松岡茉優が抜擢された。

 今回リアルサウンド映画部では、『百日紅~Miss HOKUSAI~』以来の長編アニメーションとなる原恵一監督に、今作でファンタジー作品に挑んだ理由や作品世界の構築、キャスティングのこだわりなど語ってもらった。

「ファンタジーは自由度が高い」

ーー原監督の持ち味の家族や少女の成長というテーマを共有しつつ、ファンタジーに振り切った作品になっていますよね。

原恵一(以下、原):『バースデー・ワンダーランド』はファンタジー作品のエンターテインメントというところから企画がスタートしました。実は個人的にファンタジーものには今まであまり興味が湧いてこなかったのですが、いっちょやってやろうじゃないかと。やってみたら思いのほか楽しかったですけどね。

ーー原監督の持ち味としてアニメーションで実写的な表現を追求している印象があります。今回ファンタジーもので空想世界を表現するというのは、今までとは違ったアプローチがあったのかなと。

原:ファンタジーだと、非常に自由度が高いんですよ。現実的である必要はなく、そこでどんな世界が描かれても成立してしまう。お客さんを飽きさせず、アカネとチイと一緒に色鮮やかな世界を旅してドキドキするという部分はやはりファンタジーならではの良さだなと作りながら思いましたね。

「お客さんに視覚的にも満足していただきたい」 

ーーワンダーランドの世界は、それこそ見たことのないような風景が描かれていて、これまで原監督の作品を追っている人はびっくりするんじゃないかと思います。

原:そうですね。やはり色使いというものを一番意識しましたね。ワンダーランドには赤い町や青い町、白い町などがあって、それぞれの世界を色で変化をつけたいなと思って今回取り組みました。

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ーーそれは本作のテーマが「色を失っていく世界」というところと関連があるんでしょうか?

原:それもあるし、単純にお客さんに楽しんでもらいたいじゃないですか。色鮮やかな世界を、次々と楽しんでもらって視覚的にも満足していただきたい。監督としてのお客さんへのサービスをそこでしなければと思っていたので、すごく意識しましたね。

ーーキャラクター/ビジュアルをイリヤ・クブシノブさんに任せたのもそのような経緯が?

原:最初はイリヤの画集を見て、このキャラクターでいきたいなと思ってお願いしたんです。でも一緒に仕事をしているうちに、イリヤが世界観も作れるというのが徐々にわかってきたので、村の建物やメカニック、小道具も全部イリヤが書くことになり、膨大な量の設定を作ってくれました。そのどれもが僕の要求を上回るものだったので、大変な才能を持っているなと思っています。

ーーイリヤさんが手がけたキャラクターも、日本アニメとは一風変わったデザインですよね。

原:そういう作品にしたいなと思っていました。名のある日本人のキャラクターデザイナーに頼むと言う手もあったかもしれないですが、イリヤの絵を見た時にすごく新鮮味を感じたんですね。彼は日本のアニメの現場で働くのが初めてだったのですが、その点に関してはあまり不安はなかったというか、実際思った以上に大活躍をしてくれました。

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