現代に蘇った元祖スラッシャー・フィルム 『ハロウィン』は新旧ホラーファンを歓喜させる出来に
一周回って目新しいゴア暴力シーン
近年は『ソウ』シリーズや『ファイナル・デスティネーション』シリーズのように、いかにユニークな殺し方ができるかを競うような作品がもてはやされていて、『13日の金曜日』のジェイソン坊やや『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスといったパワー系スラッシャーは新生ホラーファンの中で木偶の坊(でくのぼう)扱いされることがあります(確かにそう感じるのも否定できません)。
しかし、今回の『ハロウィン』では、パワー系だからこその勢いのあるデスに圧倒されること間違いなし。特にジャーナリストのトイレ・デスと、マイケルマニアのザクロ・デスは一見の価値あり!(このキーワードが気になった人は劇場へGO!)。ザクロ・デスに至っては、デヴィッド・クローネンバーグ監督の人体破壊美学すら感じさせましたね。ここ最近こんなに単純で大胆で本能に忠実でパワー任せなキル・シーンを見たことがなかったので新鮮味がありました。
シリーズへのオマージュとローリーの変化
先にも触れた通り、本作はオリジナルの続編でありながら『II』以降のシリーズへのオマージュがたくさん登場します。ネタバレになってしまうので詳しく書けませんが、シリーズの中でも「良し」なアイコニック・シーンや要素が登場します。
ただ、『ハロウィン』(78年)のオマージュはユニークな方法で使われています。というのも、どうやらローリーはマイケルの中に自分の存在意義を見出しているうちに、彼女自身もマイケルのようなモンスターになってしまっていたのではないか、と解釈できるオマージュが出てくるのです。その部分はご自分の目で確かめてほしいので、本作を鑑賞する前に、是非オリジナルをチェックすることをオススメします。
■中川真知子
ライター。1981年生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。好きなジャンルはホラー映画。尊敬する人はアーノルド・シュワルツェネッガー。GIZMODO JAPANで主に映画インタビューを担当。Twitter
■公開情報
『ハロウィン』
全国公開中
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ダニー・マクブライド、デヴィッド・ゴードン・グリーン
製作:ジェイソン・ブラム
音楽:ジョン・カーペンター、コーディ・カーペンター
出演:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、ニック・キャッスルほか
配給:パルコ
2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/原題:Halloween/106分/R-15指定
(c)2018 UNIVERSAL STUDIOS
公式サイト:halloween-movie.jp