『映画 少年たち』で発揮されたジャニーズJr.の底力 “名バイプレイヤー”関ジャニ∞ 横山裕にも注目

『映画 少年たち』で発揮されたジャニーズJr.の“底力”

ジャニーズJr.の底力

 このところ大きな変革期を迎えたジャニーズのアイドル。一部報道では、若手が育っていないと懸念するコメントも度々耳にした。普段、ステージを観ているファンからすれば、全く見当違いなコメントだが、世間からすれば目に触れる機会は少ないわけで、そうした意見が飛び出すのも致し方ない。

 しかし、本作品を観ることで、それは杞憂に終わるはず。アイドル特有の華やかさはもちろん、これまで数々の舞台や作品への出演を通して下積みを重ねてきた彼らならではのダンスパフォーマンスは圧巻だ。ユニットごとに特色が色濃く出ており、例えばSixTONESのオシャレでパワフルさを武器にしたパフォーマンスもあれば、Snow Manの精巧かつダイナミックなダンス、ユニットごとに観ても、一人にフォーカスを当ててもよし。何度でも観ていられる。

 「ここで踊りだす!?」という唐突な設定にジャニーズらしさを感じつつ、そんな驚きもつかの間。視界いっぱいに広がるダンスパフォーマンスにくぎ付けにされる。

 中でも特に、冒頭の1カメ1カットで撮影された8分間のダンスシーンは見もの。失敗が許されない緊張感は観客席にも伝わってきた。スクリーンに映し出されるキャスト、画角から外れていくキャストからも目が離せず、8分があっという間に過ぎていった。見落とした部分があるはず、と気になって繰り返し観たくなる。

 本作で演技の面から後輩たちを牽引しているのは、関ジャニ∞の横山。少年刑務所の看守長という役どころで、まるで何かが憑依したかのような演技でストーリーを引き締めていた。名バイプレイヤー・横山としての仕事ぶりにも注目だ。ドラマ『絶対零度 〜未然犯罪潜入捜査〜』や『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(ともにフジテレビ系)で刑事役を演じてきたが、セリフがない場面でも目を引く存在感を発揮していた。本作でも、少年たちとの対峙を通して感情をぶつけられるのだが、横山の威圧感たっぷりの演技があるからこそ、彼らの演技が鮮やかに映っていた。

 このところ増加傾向にある純愛ストーリーやラブコメディとは一線を画す、硬派な仕上がりとなった『映画 少年たち』。ジャニーズJr.が多数出演し、ジャニーズの魅力がギュギュっと詰まった作品であり、ここまでジャニーズの世界にどっぷりと浸れる作品も珍しい。

 舞台作品とは違った角度から楽しめ、初演から50年たった今映画化される意義を感じる作品に仕上がっている。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

■公開情報
『映画 少年たち』
全国公開中
出演:ジェシー、京本大我、高地優吾、松村北斗、森本慎太郎、田中樹/SixTONES
岩本照、深澤辰哉、渡辺翔太、阿部亮平、宮舘涼太、佐久間大介/Snow Man
西畑大吾/なにわ男子
向井康二、室龍太、正門良規、小島健/関西ジャニーズJr.
宮近海斗/Travis Japan
大西流星/なにわ男子
嶋崎斗亜/関西ジャニーズJr.
中村嶺亜/7 MEN 侍
川崎皇輝/5忍者
HiHi Jets、Sexy美少年、7 MEN 侍、5忍者、Jr.SP、なにわ男子、関西ジャニーズJr.
戸塚祥太(A.B.C-Z)、山下リオ、森口瑤子、伊武雅刀、横山裕
製作総指揮:ジャニー喜多川
監督:本木克英
脚本:石川勝己
脚本協力:川浪ナミヲ、高見健次
特別協力:法務省
企画協力:ジャニーズ事務所
制作プロダクション:松竹撮影所
配給:松竹
(c)映画「少年たち」製作委員会
公式サイト:http://shonentachi-movie.jp/
※嶋崎斗亜、川崎皇輝の「崎」は「たつさき」が正式表記
※向井康二は現在、Snow Manとして活動
※高地優吾の「高」は「ハシゴ高」が正式表記

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