ジェームズ・ガンはなぜ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』新作に復帰できたのか?

ジェームズ・ガンはなぜ復帰できたのか?

 ガン復活には様々な理由が挙げられるが、なにより一番重要だったのは、「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に必要だった」、これに尽きるだろう。ガンがクビになったあと、『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティや『バイス』のアダム・マッケイが候補に上がっているとの報道があったが、実際には、マーベル・スタジオは誰とも接触していなかったとDeadlineは報じている。

 ガンが製作総指揮として参加した『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でのガーディアンズの登場シーンは作品の重要な部分を担っていた上、カレン・ギラン演じるネビュラがキーパーソンになるとされる『アベンジャーズ/エンドゲーム』でもガンは製作総指揮を任されている。長い年月をかけて大きな物語を生み出すマーベル・シネマティック・ユニバースが新たなフェーズへ突入するタイミングで、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとガンが必要不可欠なのは言うまでもない。

 ガンの一件のみならず、過去の言動を巡って、ハリウッドでは問題が相次いでいる。コメディアンのケヴィン・ハートは、同性愛を差別するような過去ツイートで、アカデミー賞の司会を降板。リーアム・ニーソンも人種差別とも取れる発言をして、レッドカーペットが中止になった。公平で平等であるべき今の世で、これらの「過去の発言狩り」は賛否両論となっている。1つ言えるのは、反ユダヤ発言で10年間干されたメル・ギブソンが『ハクソー・リッジ 』で復活できたように、優れた才能と過去の自分を改める心さえあれば、再び立ち上がるチャンスは少なからずあるということだ。

 さて、これからガンは、『スーサイド・スクワッド』のリブートに取り掛かり、2021年の2月から『Guardians of the Galaxy 3』の製作を始める。ガンは再起用により、『スパイダーマン』のサム・ライミ、『ダークナイト』クリストファー・ノーランらと同様、単体ヒーロー映画三部作のうちすべてのメガホンを取った数少ない監督となる。「はみ出し物がヒーローになる」まさに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』的展開で一件落着した今回の騒動。2月に天国に行ったロケットのモデルのアライグマ、オレオもきっと喜んでることに違いない。

■阿部桜子
ライター&編集者。映画と海外ドラマ。好きなジャンルは、「ディズニー」「アメコミ」「ホラー」。

■リリース情報
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
MovieNEX発売中
価格:4,000円+税
監督:ジェームズ・ガン
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナほか
原題:Guardians of the Galaxy Vol. 2
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2017
公式サイト:http://marvel.disney.co.jp/movie/gog-remix.html

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