木村佳乃の“真逆”の演技が話題に 『後妻業』小夜子の過去が明らかになるほど切なさが増す

『後妻業』木村佳乃の“真逆”の演技が話題に

 “後妻業”(=資産家の老人を狙う遺産相続目当ての結婚詐欺)のエースで男をたぶらかす天才・武内小夜子(木村佳乃)が主人公のドラマ『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)。その第5話が2月19日に放送された。

 本多(伊原剛志)の動きを警戒する柏木(高橋克典)は、小夜子の弟である博司(葉山奨之)を東京へ送り込み、本多の過去を探って弱みを握ろうと画策する。本多の居所はつかめていないため、柏木は博司に朋美(木村多江)を尾行するように命じる。一方、認知症の幹夫(佐藤蛾次郎)に苦戦している小夜子に対し、柏木は元開業医の資産家・笹島雅樹(麿赤兒)との見合いをセッティングする。

 第5話で印象的なのは、小夜子演じる木村佳乃のいきいきとした表情とそれとは対照的に映し出される小夜子の過去だ。木村佳乃のコメディエンヌっぷりはドラマ全体を活性化させるが、小夜子の過去が明らかになるにつれてその笑顔が切なく見えてくる。

 本多の動きを警戒する柏木は、博司に朋美の尾行を命じる。博司は当然文句を言うが、小夜子と柏木が同じタイミングで博司を叩く姿がコミカルだ。木村佳乃と高橋の息ぴったりの演技が、2人の「バディ」としての相性の良さを物語っている。小夜子と柏木が腕を組み「最高のバディや!」と発するシーンは清々しい。

 小夜子は、新たなターゲットとなった笹島との距離を積極的に縮めていく。小夜子のように真摯に自分の話に耳を傾け、反応してくれる存在に、彼らは心惹かれるのかもしれない。しかし小夜子は“後妻業”の女だ。笹島が席を外した隙に堂々と彼の財布の中身を盗み見、ゴールドカードと大量の現金を見て大喜びする。

 楽しそうにコロコロと表情を変える木村だが、後妻業を始める前の小夜子は影を落としたような表情を見せている。かつて風俗店で売れっ子だった小夜子。柏木とバディとなったのも、風俗店での出会いがきっかけだったことが判明する。柏木に背を向け、暗い表情のまま力なく言葉を発する姿が映し出される。朋美をからかうときのような明るさはそこにはない。鏡に映る柏木と自分の姿を見つめる小夜子の目には、今の小夜子のような野心は皆無だ。後妻業としての小夜子と、後妻業になる前の小夜子。同一人物にも関わらず、別人のようにも見えるさまは、女優・木村佳乃の演技力が見事に証明された一幕だった。

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