『はじこい』横浜流星×永山絢斗×中村倫也、理想の男性は誰? 深田恭子を悩ませる三者三様の魅力
深田恭子主演の連続ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)の胸キュン指数が加速している。恋愛も仕事もうまくいかなかった塾講師の鈍感女子・春見順子(深田恭子)。塾の生徒であるピンク色の髪をした高校生、由利匡平(横浜流星)に愛され、幼なじみの東大卒エリート商社マン・八雲雅志(永山絢斗)から告白され、匡平の高校の担任で同級生だった山下一真(中村倫也)に誘われても、モテていることに気づかない。
3人の違うタイプの男性から「これでもか!」というアプローチを受けても、察することができない残念な順子のおかげで、彼らのさまざまな愛情表現を堪能できる本作。女性は男性のどんなしぐさにキュンとなり、どんなアプローチにときめくのか、ドラマを通して感覚的に理解を深められる仕組みにもなっている。コンプライアンスの強化が課題にもなっている昨今、セクハラと好意の境界線は曖昧だ。どこまでの範囲なら許されるのか、その明確な答えが出せないまま恋愛に踏み切れない人も増えている。
現実は難しく、他人の目は厳しく、普段の生活の中でハードルの高い分かりやすいアプローチなんて、もってのほかだったりもする。だからこそ、物語の中では感情を揺さぶられ、ドラマを盛り上げ、印象にも強く残る。タイプが違うだけに、好みが分かれるところだが、3人のそれぞれのアプローチはどれが理想的なのか、考えるだけでも体温が上昇しそうだ。
清々しい由利匡平(横浜流星)のアプローチ
まず、原作の同名漫画でも人気で、主人公・順子の運命を大きく動かす、物語の起爆剤となるピンクの髪の由利匡平のアプローチ。こんなにもピンク色の頭が似合う男子はそれだけでも貴重な存在だが、迷いのなさにおいては無敵。最初は自分をろくでなし呼ばわりする父親への反発だったとはいえ、東大受験に挑戦すると決めてからはブレることなく勉強に勤しむ。「32歳の人が高校生から好きだって言われたら迷惑ですか?」と順子の幼なじみの美和(安達祐実)に一応質問はしたものの、答えがどうであれ諦める気配はない。
第4話の塾の強化合宿で「来年の2月3日、覚えといて。18になるから」と順子に言ったように、年齢がネックになっていることは承知しつつ、だからといって悪びれることはない。また、よく比較される10月期のドラマ『中学聖日記』(TBS系)の黒岩晶(岡田健史)のように、先生(有村架純)には惹かれるけれど、自分がどうしたらいいのか分からない、というわけではない。どうしようもなく感情に振り回されて思い詰めてしまうというわけでもない。
年齢差がある年上の女性を好きになったから、その気持ちを正直に表現する。重さも暗さもなく、まっすぐにぶつかっていく堂々としたアプローチが清々しい。順子の周りにいる大人の魅力ある男性に嫉妬もするが、逆にその嫉妬をバネに勉強まで頑張ってしまうところも好ましい。
真面目で不器用な優しさが光る八雲雅志(永山絢斗)
そんな男らしい情熱的な態度を時折見せる匡平と順子との関係が気になって、仕事のフリをして塾の合宿の様子を見に行く雅志を応援する声も少なくない。いくら従兄弟で昔から恋愛対象として見ていなかったとはいえ、勇気を出して告白したのに、告白されたことにも気づかれない。自分では彼女のために一生懸命やっているつもりでも、彼女の心には響いていないのである。
職場でも目立つポジションの雅志の場合、東大卒でいかにも思い通りの人生を歩んできたかような印象を与え、自分でも苦労を他人に見せようとしないため、完璧に出来るのが当たり前のように思われている。無理をして1人で抱え込みがちで、順子に負けず劣らず恋愛下手。他人から自分がどう見られているのかが分かるから、自分をうまく解放できないし、肝心なときにプライドが邪魔することがある。
付き合いが一番長く、彼女の変化は見過ごせず、順子を取り巻く男性の中で焦りが強いぶん、空回りもしやすい。ハイスペック男子でありながら、順子の「雅志はそんなんじゃない」の一言で枠の外に追いやられてしまう。第5話では、匡平の受験勉強を手伝うことで順子に頼られるのだが、これもまた雅志にしてみれば複雑だ。正しいやり方で、努力すれば結果が出る勉強や仕事と違って、恋愛は相手の気持ちが動くかどうか。安心感が邪魔をするアプローチは雅志にとって確かに不利としか言いようがない。しかし、その真面目さ、不器用な優しさは静かに、そして確実に響くものではある。