満島真之介、豪快さと繊細さを兼ねそねえた“ただならぬ”演技 『いだてん』で飛躍の1年に?
そもそも、この「どこかただならぬ」役の原点は、方向性は少々違うが、初主演の『風俗行ったら〜』でも感じられていた。そのほかにも、2018年の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)でも、やはりただならぬ雰囲気の元サッカー選手を演じていたし、映画『君が君で君だ』に至っては、好きな女の子が好きな“ブラピに成りきる男”を演じたのだ。そして、満島がただならぬ雰囲気を出すときのポイントは、白い歯を見せて全力で笑っているのに、笑っていないような雰囲気と汗だった。
2018年から2019年にかけては、この「ただならぬ」感が前面に押し出された作品が多く、見ているものを惹きつけ、大いに話題となっている。だが、満島は『紙の月』のような繊細な役も、また2015年のドラマ『恋愛時代』(読売テレビ系)のような、どこにでもいる普通の人もうまく演じられる役者でもある。『いだてん』のような振り切れた役も楽しいが、繊細だったりごく普通の青年だったり、今後もさまざまな満島真之介の顔を見ることができたらと思う。
■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。