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『ブラックパンサー』や『クリード 炎の宿敵』が大ヒット ブラックムービーに今何が起きている?

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 2018年2月16日、全米各地でマーベル・スタジオのスーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』(2018年)が封切られ、アメリカでは記録的な映画興行成績を収めた。その結果、現段階では興収7億ドルを突破し、北米歴代映画興行成績3位という驚異的な記録となった。この『ブラックパンサー』という作品は、ワカンダというアフリカにあるとされている架空の国が舞台で、ワカンダの……つまりアフリカの国王となる若き王子のティ・チャラが、ワカンダで採れるヴィブラニウムという鉱石のパワーにより、超人な能力を手に入れ、“ブラックパンサー”としてワカンダを守るスーパーヒーローの物語だ。そのような作品を完成させたのは、ライアン・クーグラーというまだ若干31歳(公開当時)の若手映画監督であり、そして彼はアフリカ系アメリカ人(アメリカ黒人)である。

『ブラックパンサー』(c)Marvel Studios 2018

 ハリウッドでは、黒人が主役で黒人が監督の映画は大ヒットは生まれない……と、言われていた。実際に、大ヒットの指標となる全米興行成績1億ドルを2000年公開以前に突破した黒人監督は、『スター・クレイジー』(1980年)のシドニー・ポワチエだけである。興行成績だけでなく、『ブラックパンサー』という作品は、現在徐々にノミネートや受賞作品が発表されているゴールデングローブ賞などの威厳のある賞レースでも続々とノミネートや受賞を達成し、破竹の勢いである。そして『ブラックパンサー』が同じ作品賞で争っているのが、スパイク・リー監督の最新作『ブラック・クランズマン』(2018年)、そしてバリー・ジェンキンス監督の『ビール・ストリートの恋人たち』(2018年)という、これまた黒人監督による黒人が主役の、いわゆる「ブラックムービー」と呼ばれる作品たちだ。どうして、今、「ブラックムービー」が活躍し、そして大ヒットを続けているのか、探ってみよう。

 先述した全米興行成績1億ドルを稼いだ黒人監督だが、2000年以降に増え続け、現在2018年12月の段階で20作品がその大きな壁を乗り越えている。その壁をまず超えたのが、人気ホラー『スクリーム』(1996年)や『ラストサマー』(1997年)のパロディ映画『最終絶叫計画』(2000年)のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズである。しかしご存じの通り、シンディ(アンナ・ファリス)という白人女性が主役である。その後は、『S.W.A.T.』(2003年)のクラーク・ジョンソン、『ワイルド・スピードX2』(2003年)のジョン・シングルトンなどが続く。それらは、もともと人気のTVシリーズの映画化やシリーズ映画などであった。

 この状況を変えたのは、『大統領の執事の涙』(2013年)のリー・ダニエルズである。その作品より先の『プレシャス』(2009年)にてアカデミー賞の作品賞にノミネートされ、監督・製作者としてダニエルズは一躍注目を集めていた。フォレスト・ウィテカーが演じる、ホワイトハウスで歴代の大統領を支える執事と、その家族の人生から垣間見られるアメリカの栄光と影を映し出したのが『大統領の執事の涙』である。2000年前だったら、興行成績1億ドルを突破するのは確実に難しい作品であり、それ以前に製作のゴーサインすら出にくい映画であった。ブラックムービーの宿命とも思われるそのヒットに恵まれない状況や、製作されないという問題を打ち砕いたのは、やはり『プレシャス』というダニエルズ監督の前作がアカデミー賞をはじめとする賞レースで結果を出したからなのだ。『プレシャス』という作品は、2009年の1月にサンダンス映画祭で上映され、大賞と観客賞のW受賞を果たし、そこから破竹の勢いで、さまざまな賞レースで勝ち続け、限定公開に結びつき、そしてやっと一般公開され、アカデミー賞の作品賞ノミネートまでこぎ着けた。それを受け、日本でも2010年の4月から公開されている。このパターンが近代のブラックムービーで一番成功できるパターンになったのだ。

      

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