年末企画:杉本穂高の「2018年 年間ベストアニメTOP10」 脚本家・吉田玲子の年として記憶される
リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2018年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに加え、今年輝いた俳優たちも紹介。アニメの場合は2018年に日本で劇場公開された映画、放送されたTVアニメの作品から、執筆者が独自の観点で10本をセレクト。第2回の選者は、神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人であり、現映画ライターの杉本穂高。(編集部)
アニメにせよ、映画にせよ、漫画にせよ、ゲームにせよ、年間ベスト10を選ぶ作業は年々難しくなっている。なぜなら、あらゆるコンテンツが増加しているので、もはや専門分野でも全ての作品に目を通している人間はほとんどおらず、それぞれの識者によって観測範囲も異なる。アニメーションについて言えば、深夜アニメは相変わらず膨大な本数が放送され、近年は劇場作品も増加傾向にある。そこに加えて今年はNetflix配信が加わった。正直に申し上げるが、筆者は今年公開・放送・配信されたアニメーション作品全てをチェックできてはいない。FGOのプレイ時間を削ればもっとチェックできたんじゃないか、という反省はあるが。
それでも筆者の観測範囲でなんとか10本を厳選してみた。納得いただける方も、そうでない方もおられるだろうが、ご笑覧いただきたい。
1. 『リズと青い鳥』
2. 『若おかみは小学生!』
3. 『DEVILMAN crybaby』
4. 『生きのびるために』
5. 『さよならの朝に約束の花をかざろう』
6. 『宇宙よりも遠い場所』
7. 『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』
8. 『ルパン三世 PART5』
9. 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
10. 『紅き大魚の伝説』
選考基準は昨年と同じく、執筆時点で完結してない作品は除外した。なので現在放送中のアニメについては全て選考外としている。『SSSS.GRIDMAN』や『ゾンビランドサガ』あたりはベスト10に入れるポテンシャルはあると思うが、フィナーレがどうなるのかでまた評価も変わろう。『リズと青い鳥』については、シリーズの1本という見方もできるが、独立性が高い内容なので選考対象にした。
2018年は、将来振り返れば吉田玲子の年として記憶されることになるだろう。1、2位に加えてTVシリーズの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、圏外となったが『劇場版のんのんびより ばけーしょん』や『ハクメイとミコチ』もあった。実写作品を含めても、野木亜紀子(『フェイクニュース』『獣になれない私たち』)と並んで今年最も輝いた脚本家ではないだろうか。来年も湯浅政明監督の新作映画の脚本を担当しているとのことで、今後もますます活躍が期待される。
以下、選考理由を1作品ごとにコメントする。