初主演映画『ニート・ニート・ニート』で見せた躍進 安井謙太郎は“邪道”もサラリとこなす演技派に

『ニート・ニート・ニート』安井謙太郎の凄み

 チャラくて、厄介。現実にいたら、関わりたくないタイプ。そんなキャラクターを演じたらピカイチのジャニーズJr.がいる。安井謙太郎だ。そんな安井が、“チャラくて、厄介なヤツ”を存分に、生き生きと演じた初主演映画『ニート・ニート・ニート』が、11月23日より公開されている。

 『ニート・ニート・ニート』は安井演じるレンチ、タカシ(山本涼介)、キノブー(森田美勇人)3人のニートと、謎の少女・月子(灯敦生)の4人が織りなす青春ロードムービー。ヤクザから追われているレンチは、高校の同級生である辞表を出したばかりのタカシと、いい大学に進学しながらも引きこもりになってしまったキノブーを巻き込み、北海道へ旅に出る。途中、出会い系サイトで知り合った地味な少女・月子も合流。どこまでも追いかけてくるヤクザたちを撒きながら、月子の指示通りに北海道中を駆け巡っていく。途中、それぞれの事情が少しずつ明らかになったり、汗水流しながら働くことになったり、頑なに心を閉ざしていた月子との交流が生まれたり……。はじめはレンチが強引にスタートさせた旅だが、全員が少しずつ成長を遂げていく様子が見どころである。

 安井が演じたレンチは、トラブルメーカーであり、ムードメーカーでもある青年。映画内ではっきりと言及されていないが、おそらく高校卒業後はフラフラしており、交友関係もあまり良いとは言えなさそうだ。しかも、ヤクザから追われているというどうしようもなさ。普通なら、改心するか己の現状に失望するかしそうだが、レンチにとっては屁の突っ張りにもならない。おバカでクズな発言を平気で口にし、常に楽観的で笑顔を絶やさないのである。それにしても、レンチというキャラクターは真性のクズである。レンチのセリフに気分を害する人がいても、全くおかしくない。しかも悪気なくニコニコと心底楽しそうに話すから腹が立つ。しかし、裏表が一切ないからこそどこか憎めず、いつの間にか人々の中心になっているのかもしれない。そして、そんなチャランポランな役をサラリとこなす安井がすごい。

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