安井謙太郎の輝きが物語を突き動かす 『ニート・ニート・ニート』が伝える“大人へのステップ”
安井謙太郎が映画初主演を務めた『ニート・ニート・ニート』が11月23日に公開された。本作は北海道を舞台に描かれた青春ロードムービー。タカシ役を『仮面ライダーゴースト』(テレビ朝日系)で活躍した山本涼介、キノブー役を森田美勇人、月子役を『イタズラなKiss』の灯敦生が演じる。安井と森田はジャニーズJr.内ユニット・Love-tuneのメンバー同士での出演となった。さらに同ユニットは映画公開後に、安井らを含める全メンバーがジャニーズ事務所を退所することが報道された。ジャニーズがJr.メンバーの退所で声明を出すことはあまりしない。故にジャニーズの中でもJr.を牽引してきたグループとも言えるだろう。
作中ではレンチ、タカシ、キノブーはそれぞれ抱えるものがあり、順風満帆な人生とは言い難いキャラクターとなっている。それを3人は、月子を交えて旅をすることで徐々に昇華して、気持ちの整理をつけていくのだった。レンチは特に個性の強い役で、キノブーが劇中でも説明するが、“みんながレンチを好きになる”不思議な魅力を持っていた。引っ掻き回すし、わがままだが、それでもみんなが付いて行ってしまうようなパワーがある。
一方、キノブーやタカシは落ち着いた役柄で、レンチとの対比が描かれる。レンチの弾けたキャラクターは、彼らの影の支えがあっての輝きだと感じた。森田、山本ともに繊細な芝居をするだけに、2人のキャラクターにさらに個性がつけば、より存在感を残せただろう。本作に関しては、レンチに“持って行かれた”ような印象は拭えなかった。そしてそれが本作の演出の肝なのだ。