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吉田羊×太賀『母さんがどんなに僕を嫌いでも』対談 「一本の筋を通して表現したかったんです」

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 太賀と吉田羊が共演する映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が公開中だ。原作者である歌川たいじが、実体験をもとに書き綴ったコミックエッセイを『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』の御法川修監督のメガホンによって映画化した本作は、親からも友達からも愛されたことがない青年が、壮絶な過去を乗り越えて、自分を拒絶してきた母の愛をつかみ取るまでの実話ベースの物語である。

 今回リアルサウンド映画部では、主人公・タイジ役を務めた太賀、タイジを心身ともに傷つけてしまう母・光子を演じた吉田羊にインタビュー。原作者・歌川たいじとのエピソードや撮影の裏側、演技へのスタンスについてまで話を聞いた。

吉田「この映画を作る意味があると思いました」

ーー本作は原作者・歌川たいじさんご本人の壮絶な過去が元になっています。

太賀:歌川さんの、実際にあった過去を演じるというのは簡単ではなかったです。というか、大変でしたね(笑)。 

吉田羊(以下、吉田):本編を観た時に、太賀くん大変だっただろうなと思いました。原作にあったあのあらゆる喜怒哀楽を芝居とは言え「体感」したのですから。原作を読むと、虐待というデリケートな題材でありながらも、どこか温かくて、希望すら感じる作りになっているじゃないですか。それは偏えに歌川さんの、お母さんに対する愛情が根底にあるからだと思うんです。それが脚本になっても、御法川監督の、映画に関わった人や観た人に幸せになってほしいという愛情を感じられるものだったので、ただの虐待の映画では終わらない確信がありました。

ーー役を演じるにあたって、原作を意識した部分はありましたか?

太賀:あえて原作を意識するということは特になかったです。でも、羊さんが言うように、原作にとてもポジティブな雰囲気があったので、作品のトーンを把握するという意味では、原作からヒントをもらいました。

吉田:私も原作を意識するということはなかったんですが、光子さんが虐待にまで至る思考回路がどうしても理解できなくて、歌川さんにお母さんについて色々エピソードを聞かせていただいたことはありました。聞くに堪えないようなむごいお話ばかりなのに、一番母を拒絶するはずの歌川さんご本人が「それでも母は一生懸命生きた人だったんですよ」とすごくポジティブで、お母様を擁護すらしている。その時に「これを伝えればいいんだ」と気づきましたね。どんなに未熟な母親であっても、子どもは母を愛しているんだという歌川さんの思いを伝えれば、きっとこの映画を作る意味があると思いました。

ーー役作りの上で工夫されていた点は?

吉田:きっと光子さん自身も、自分がどう母親として振る舞ったらいいのか分からなかったと思うんです。他人からこうあるべきと要求されるものに、自分が追いつかない不安ってきっと大なり小なりみんなあるじゃないですか。私もこういう仕事をしている以上、吉田羊ってこういう人というイメージをつけられる経験はたくさんありますし、そのイメージへの不安もあります。そういう意味では、光子さんにリンクできる部分もあると思って、演じさせていただきました。ただ、虐待は肯定されるべきではないし、私も演じながら劇中で描かれる彼女の生い立ちや背景をエクスキューズにはしないでおこうとは決めていましたね。むしろ光子さんが未熟に映るように演じるほど、それでも息子は母を求めていたということが逆説的に色濃く、皆様に伝わればいいかなと思います。

ーー太賀さんはいかがですか?

僕は、歌川さんの実体験での悲しみを経験していないので、それを自分が体現できるのかというのはすごく不安でした。でもやるからには、その時々で歌川さんが感じた喜びも悲しみも何一つとしてこぼしたくはないと思って、タイジの喜怒哀楽を、繊細に表現することは意識しました。歌川さんも現場によく応援に来てくださっていて、それこそ劇中にも出てくる混ぜご飯やお菓子を作ってくれたりしたんです。だから聞こうと思えば、この時どういう気持ちだったのかとか聞くことはできたんですけど、それはしたくなくて。というのは、歌川さんが感じたことを僕自身が聞いて知ったような風じゃなくて、目の前に書かれている脚本に対峙した時に何を思ったのか、どういう気持ちだったのかを自分なりに想像することで、一本の筋を通して表現したかったんです。だから自分の想像力との戦いだったような気がします。

      

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